近況

先週から人の親になった。親になった気分に戸惑う間もなく、私の子供を産んだ人が産んだ数日後に蜘蛛膜下出血で意識不明になり、ICU送りになった。異常を発見し、医師を呼び、救急車で搬送される人事不肖の人を見送り、タクシーを待って茫然としているときに…

白リンが皮膚に付着したときにおこること

白リン弾の人体に対する影響に関して、白リンの酸化反応で生じる煙がほぼ無害である、という記述ばかりが日本語では目立つ。2005年にファルージャで米軍が白リン弾を利用したときに、それが化学兵器か焼夷兵器か、はたまた単なる煙幕弾なのか、ということで…

http://www.timesonline.co.uk/tol/news/world/middle_east/article5447590.ece

近況

家の前にある川が凍結しているのを初めて見た。近くのパブの壁にぶらさがっている古ぼけた1930年代の写真には、川が凍って人々がスケートをしているところが写っているが、こんな風になってもおかしくない。今晩の気温はマイナス14度まで下がるとか。日本で…

投靴

ウェストバンク・ラマラの近くビリン村でのイスラエルによるガザ攻撃に対する抗議活動中にイスラエル兵の前に立つパレスチナ人(2009年1月8日)。Photograph: Eric Gaillard/Reutersガザ地区の市民を殺すな。 - ***海外の記事、エッセイ、生情報の和訳、まと…

葬式

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ドイツにきたばかりのころ知り合った友人が若くして急に亡くなったので遠方まで葬式に。全身芸術家で三島由紀夫の生き様に傾倒し、ブリティッシュパンクを崇拝し、凄絶なほどのジャンキーだった。いろいろな薬を人体実験のように注入しているのになんでこん…

歴史認識・デリダ・ハーバーマス

合意形成の話はひとまずおいておいて、そもそもの問題の起点にまたもどる。「デリダを通ってしまうと、歴史的真実とか言えなくなる/言うということはデリダを裏切る」という東浩紀氏発言について昨年にひきつづきいくつかリンク。ハーバーマスとデリダのヨ…

新年おめでとうございます

本年もよろしくおねがいします。 ぐずつく天気の中、年越しはイタリア人の友人の家で、街のあちらこちらで上がる花火を眺めながら乾杯。花火は明け方近くまで散発的に続いて内戦のごとし。元日午後から来訪した日本人夫妻と雑煮。手羽先スープにこの一年凝っ…

年末雑感

この場に関して振り返るとキーワードがなにかと気になる年だった。自分で勝手に作ったものも含めてあまり考えずに並べると「文革2008」「ニコ現」「『リアルのゆくえ』」「<佐藤優現象>」。うまく言葉にならない通奏低音がそこにはあって、一番しっくりす…

悪の社会

要は「いまの社会は悪の社会だ」という認定をしている。 http://d.hatena.ne.jp/fuku33/20081223/1230004277 社会というとどのスケールの社会を指しているのかにもよると思うのだけど、この結論を眺めたときにすぐにオウム真理教のことを思い出した。オウム…

歴史の記述

小学六年生の時に、それまで私が生きた12年間の経験、起こったことをすべてノートに書き記そうと思い立ったことがある。記憶をすべて書いてしまおうと思ったのだ。分厚いノートを用意して、いざはじめてみたもののしばらくしてとても困ってしまった。すべて…

バカの身振り

問題は、情報社会の発展により「言論の自由市場」が淘汰の場としては失効しているということ。東氏が島宇宙という(用語自体は宮台真司に由来。ただし、東氏においては若者文化論ではなくこれが全面化した状態が想定されている)のはそういう状態。それが、…

難詰

セリア。なんでこんな50年代風のファッションなわけ。とわたしはいつも思うのだが、髪のまとめ方から靴の先まで50年代な雰囲気で統一しているので私は感服。アメリカの50年代の「LIFE」とかに出てくるヨーロッパ人のおしゃれなパリジャンヌ。現代パリのすか…

近況

突貫工事のプロジェクトがどうにかおわりそう。この2週間ほぼそれしかやってなかった。飯をちゃんと作る暇もないし、睡眠時間が少なくていやになった。 冬は現地越冬、ということになりそうなのだが、姉が年末に遊びにくるのだとか。 東氏の発言に関しては自…

本のリンク ホロコーストとポストモダニズム

デリダを通ってしまうと、歴史的真実とか言えなくなる/言うということはデリダを裏切る このあたりの話のことだけど、東氏の”実感”はさておいて次の本にデリダ、ポストモダニズムとホロコーストの関係が詳しく書かれているみたいなんで(2004年出版だそうで…

今の生物学って女がすごく多い。少なくともわたしの周りでは。そうなると、論文書くのにまわりが女ばっかりで議論することになるのだが(オレひとり)、これが実におもしろい、というか、違うのだよね、わたしが受けた日本のマッチョ理系議論教育と。これで…

デリダの差異遅延(Defarence)の理論は多くのポスト・コロニアリストたちのよって引用され、西洋優越主義的なユニバーサリズムの脱構築、そして相対化に援用されてきました。しかしデリダ自身と彼の哲学は、その脱構築の結果として現れたポストモダン的な相…

東さんの「信頼」ってなにかなあ、と思っていたのだが、これにたいする考え方はこのあたりかな。 世界は複雑であり、学問は専門領域に分割されていて、いちいち文脈を押さえないと議論に参加できないのではあまりに不自由で、したがってすべての反論可能性に…

情報の断片化とその政治性

nitarさんによる聴講メモ、東浩紀「ポストモダンと情報社会」2008年度第6回(11/14)より抜粋。斎藤純一さんの『公共性』を引用しながらの講義。 次のページに、世界喪失とは生命の配慮であるとかそういうことが書いてあるP48 つまり近代の人間が「世界への…

『戦後日本におけるアメリカのソフト・パワー』

斎藤 貴男・評『戦後日本におけるアメリカのソフト・パワー』 http://mainichi.jp/enta/book/review/news/20081125org00m040026000c.htmlなぜ日本はここまで対米従属なのか http://www.amakiblog.com/archives/2008/11/25/#001255 松田武大阪大学教授の手に…

蝦蟇の油

自然科学は自然を扱う。人間を扱わない。自然科学を仕事の基礎とする者は「人に対して嘘をつくことができる、しかしながら、この大地に向かっては、どうしても嘘がつけない。嘘は、地べたから撥ね返ってくる」。自然を扱うとは、そういうことです。 「人間は…

書評

本の書評の結論部分は極端にいえばその本が<よいかわるいか>ということになるのだが、批評という点から考えれば書評は本来、独立したひとつの作品である。もちろんその本がなければ書評は生まれなかったわけであるが、たいして考えるまでもなく一冊の本に…

少年時代

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小学校のときの友人が自死したとの知らせを受けた。遺品の中にこのところ本人が書いていた子供向けの小説が何篇かみつかり、そのうちのひとつの主人公の名前がわたしの名前なのだそうである。だから知らせがきたのかもしれないが、小学校以来会っていない彼…

識者の言葉を考えてみる。

中学生の娘に売春強要、母起訴 「体売って携帯代作れ」 http://www.asahi.com/national/update/1114/OSK200811140031.html 識者のコメント 大阪府知事・橋下徹さん 「携帯電話で話すことを選んだのはその中学生本人ですから、こうした結果になったのは当然で…

エリート文学と大衆文学

水村美苗がその語りの対象としているのは実にマイノリティな人々なのであって、「日本人たるものこの本を読むべし」というような内容ではないはずである。内輪のサロンでひそやかにささやかれている話。大衆文学というものがありましてね、英語の席捲もあっ…

日本語のほろび

とある知り合いに先日翻訳をたのまれた。あるとても特殊な酵母種の実験法に関するプロトコールが日本語にしか存在しないとのことで、すでに退官された元教授のかたから送られたそのプロトコールを英語に翻訳してくれと頼まれたのである。お安い御用で、とい…

10月31日

かぼちゃの語源は”カンボジア”なのだそうだが、スペイン語でかぼちゃのことをCalabaza(カラバッサ)というのだそうである。カタカナで書くとまったく違うが、実際にスペイン人が発音すると、カボチャ、と聞こえなくもない。スペイン語でも語源はやはりカン…

近況

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今週に原稿関連の〆切と面倒なレビューの〆切。プロジェクトの結果を出す〆切がふたつ、私事の〆切がふたつ。 でも日本の某研究所から昔の同僚が4日間来客。飲み会になるだろーなー。研究所で講演してもらうことに。 ジャズのライブがみっつ。いただいたチケ…

ボクタチの闘争

「同じ人間だろ」は断固否定しなくてはならない。同じ人間ではない、という基本的な態度をとるべきなのである。 同じではないから、対話が必要なのであり、理解できる部分とできない部分を見極め、合意を形成し、ボトムラインの線引きを行う。ここからここま…

とある学位取得間近の院生へのお返事

全般に、帰らないと決めて渡航するのではなく、合ってたらそのまますみ続ければいい、ぐらいの感じで、フレキシブルに自分の将来を考えたほうがいいと思います。住む場所は自分で決めるものであって、いやになったら引っ越すことはいつでも可能です。1、生…