少年時代

小学校のときの友人が自死したとの知らせを受けた。遺品の中にこのところ本人が書いていた子供向けの小説が何篇かみつかり、そのうちのひとつの主人公の名前がわたしの名前なのだそうである。だから知らせがきたのかもしれないが、小学校以来会っていない彼がなにを思ってわたしの名前を使ったのかと、考えるよしもないことを考えてしまう。無口でおとなしく繊細な垢抜けた少年だった。通年躁状態で喜怒哀楽の激しい洟たれのガキんちょだったわたしとは正反対だった。ずいぶんと一緒に遊んだが、にこにこしながらついてくるところばかりが思い出されてしまう。米国にいたときには何度か手紙のやりとりをしたものの、申し訳ないことに小学生以来ほとんど彼のことを思い出さなかった私が、思い出していたであろう彼に代わって、今度は彼のことを思いつづける。