自然災害立国の推奨

話は飛ぶが、日本は科学技術立国として自らをアイデンティファイするよりも、自然災害立国として自らをアイデンティファイしたほうがいいと思う。自然災害は今後も世界中で起こる。これは確実なことだ。そうした自然被害に対して、冷静に対応するだけの経験と歴史(すなわち心理的な諦めと立ち直りが早いということだが)、文化的なバックボーンがあるのが日本である。これはとても特別なことだ。3つのプレートの境界に位置し、熱帯低気圧の進路にあり、太平洋に身をさらしている場所固有のもの、特別なのである。自然災害に対して日本が蓄積している技術は相当なものだ。高層ビルの免震構造や新幹線、高速道の架橋など、磐石とはいえないが常なる災害に鍛え上げられた技術は、日本が世界に貢献できる一大分野なのである。こうした既存の技術に加えて、自然災害に対応する世界最大の緊急医療・復旧人員派遣システムを作り、いわば国境なき医師団+国境なき土建屋を国家レベルで行ってあらゆる自然災害において迅速に反応するならば、これほど日本という国が世界に感謝されることはないだろうし、それは逆に言えばとても強力な安全保障にもなる。少なくとも、イラク自衛隊を送り込む浅知恵よりも、日本という国を守ることになると私は思う。