東京

フランクフルトからのJAL408便にはサッカーの日本代表が乗り合わせていた。フランクフルトのゲート前で日本の観光客がその偶然に興奮して写真をとりまくっているのを眺めて知った。三大陸トーナメントの帰路である。困ったのが成田での荷物の受け取り。サッカーチームの荷物は全て通常の荷物として運搬されるらしい。スーツケースを預けた私はバゲージクレイムのベルトコンベアーの前に立ち尽くして膨大な数の巨大なアディダスバッグがなくなるのをまたなければならなかった。彼らはファーストクラスであるから荷物の受け取りが優先されるのは当然のことであるものの、とにかくその荷物が多い。当のサッカー選手たちは、こうした荷物の引き取りに携わっているわけではなく、JFAのマネージャーらしき人間が空港の人たちを数人指示しながら荷物の整理をしている。彼らの間で交わされる話が耳に入ってきたのだが、練習・試合用の衣服は洗濯をしないので遠征中に使う分すべて持っていって、汚くなった衣服はそのまま持って帰ってきて日本で洗濯する、とのことである。荷物が膨大になるのもうなずける。さらに、おそらくミーティング用であろうホワイトボードらしきもの、複数のビデオデッキ、練習用のコーンやポールまでも普通の荷物として扱っている。
スーツケースを一つ待つだけの私はイライラしながら、彼らはその荷物を貨物扱いにして別の窓口から受け取るべきではないか、と何度も思った。私がチームのマネージメント担当だったら、コンテナをいくつか予約してそれをそのまま搬送するようにする。遺失の可能性も減るし、ロジスティックスもはるかに楽だ。ところで、全日本のサッカー選手たちは普通の人たちに迷惑をかけていること、知らんのだろうなあ。あるいは、私と同様ベルトコンベアーの前に立ち尽くしていたほかの乗客たちは、「選手のみなさまのためだから」と思ったりしていたのだろうか。