ドイツの税関に電話してみた
先日フランクフルト空港の税関のことを書いたら、数万のアクセスがあったので、結構気にしている人が多いことがわかった。そこで、多くの人が一番気になるであろう「ドイツ国外からラップトップを持ってドイツに滞在する場合」について税関に電話して聞いてみた。
日本在住者がドイツを訪問する際に個人の所持品は課税の対象には当然ならないのだが、問題はその物品がおよそ4万円以上の価値のある物品である場合(例えばラップトップやカメラなど)、それが個人の所持品であって贈り物や販売品ではないことをいかに証明するのか、という点にある。
電話での私の最初の質問は、「ラップトップをドイツ国外からドイツに持ち込むために、フランクフルト空港の税関で何をすべきか」。
回答は、「通常これは問題にならないはずである。もし緑のゲートを通るときに捕まっても、ラップトップの領収書をもっていれば大丈夫。」
引き続き質問。「とはいえ、買ったばかりのラップトップだったらどうするのか。たとえ領収書があったとしても税関の職員がその新品のラップトップをドイツ国内で売るかもしれない、と疑うこともあるだろう」
回答。「わはは(心配しすぎですね、という感じ)。レアなケースではあるが、あるかもしれない。そのような時には、その場で課税されますが、再びドイツを出国するときにその課税の領収書を使ってお金はすべて返金されます」。
質問。「それで緑のゲートを通っていたら、罰金もありますね。ということは赤いゲートで申請するのが一番いいでしょうか」。
回答。「そうですね。赤いゲートで申請し、規定の課税額を払って、出国の際に全額返金してもらう、というのがもっとも確実ではあります」。
… というわけで、もっとも正しいのは、赤いゲートをとおって金を一度払いあとで返金してもらう、という方法だそうである。支払いの際にはなにも書類を作る必要はなく、単に課税の領収書が発行されるだけだそうである。電話した先は「そこまでやる必要はないですよ」というニュアンスだったが、たまにいる意地悪な(あるいは糞真面目な)税関職員のことを考えれば、新品のラップトップを持ち込む場合、なおかつ領収書がないならば*1、少々時間はかかるが赤いゲートで一度金を払い、出国時に返金してもらう、というのが確実な方法であろう。
私の場合はいちいち赤ゲートで申請するのは面倒なので、ラップトップの領収書PDFをラップトップに保存し、緑のゲートを通過、捕まって聞かれたらやおららPDFの書類を表示、という手段にすることにした。さらにゴネられたらそのときはそのとき、なんとかする、ということで。過去16年、100回以上ドイツから出入りしていると思うがかくなる作戦を立てるのは初めてである*2。
なお次のリンク先に英語で質問できるドイツの税関の電話番号がある。丁寧な対応なので自分でもなにか聞いてみたい人はどうぞ。
http://www1.zoll.de/english_version/customs_info_center/index.html
*1:領収書がない場合には値段を聞かれる。あるいは税関の職員が勝手に見積もることになる。この見積りは先日の私の経験だと、職員は製品番号・製品名からネット検索で調べている。なお、「なぜ領収書が必要なのか」と疑問を持たれている方がいる。ドイツ国外に在住の場合には、領収書は値段の見積りが簡単になることと、購入日がわかるので、新品かどうかを判断できるからである。ドイツ国内に在住している人に関しては、ドイツで消費税を払ったかどうかを確認するため、になる。
*2:「なんて面倒なんだ!」と前回コメントしている人がたくさんいた。たしかに面倒。ただ、ドイツ人は税金の使われ方に対してもとても厳しい。日本の人たちはこの点どーなってんの、というか、復興税の名目で税金を徴収してその使い道は「北海道と埼玉県の刑務所の受刑者訓練」とか「日本原子力開発研究機構の研究費」とか「自衛隊の銃弾購入費」、こちらの追い剥ぎぶりのほうにもっと怒らないものか、と思う。復興税で「官庁の耐震改築120億円」にいたっては、まあ、なんというか。うち12億は税金徴収実務にあたっている税務所自身である。公共投資で経済を活性化、というのはわからんでもないが、東北で文字通り路頭に迷っている人を助けるのが先決ではないのか。