演出の評価

自作自演というと、イラクで日本人が捕虜になったときに「自作自演だろ」という妄想がネット上ではびこってすごいことになった件を思い出す。なにしろそのせいで、政府の対応にまで影響したのだから、まあ、すごかったのである。その後本当に日本人が拉致されて殺されたし、今やイラクにおける拉致と人質続出は日常であるから、もし今日本人が人質になっても自作自演などと連呼するドアホはいないだろう。なんでこんなことを書いているかというと、例の八戸教育改革タウンミーティング、質問仕込み事件のことである。あの、自作自演が大好きな人々はどこにいってしまったのか、と思うぐらいこの面白い話がネタになってない。そんなわけで、やらせってどの程度のものか、と思ってちょっと見てみた。

政府が依頼した質問内容。

③ 教育の原点はやはり家庭教育だと思います。残念なことに、親が親になりきれていない状況も目に付きます。教育をめぐる現在の様々な問題は、その多くが家庭教育に原因があるのではないかと思います。先ほどの大臣のご説明にあったように、新しい教育基本法に「家庭教育」の規定が追加されることは本当に大事なことだと思います。まずは、親がその責任をしっかりと自覚すべきだと思います。また、学校、家庭、地域が連携・協力することも重要です。教育は学校だけではできません。学校ばかりに責任を押し付けたり、人任せにしたりせず、みんながしっかりと自分の役割を果たして、みんなで子どもを育てていくという認識を共有することが必要だと思います。
内閣府「やらせFAX」の全文を読む 保坂展人のどこどこ日記

で、実際のパフォーマンスはいかがだったかというと、なんとありがたいことにストリームがあるのでやらせの現場を見ることができるのである。官邸関連サイトで公開されている、”質問:4〜6 → 回答:梶田 叡一 委員/大学長 学校・家庭・地域の役割”の項のビデオである。下のリンクはストリームへのリンク。

Windos Media Player
http://www.townstream.go.jp/meta/060902h/sync_n04.asx
Real Player
http://www.townstream.go.jp/meta/060902h/sync_n04.ram

実名で発言しているけど、かわいそうなので名前は書かない。一種の被害者だしな。それにしてもへたくそだなあ。棒読みはダメです、アレンジしてねと注意をうけているはずなのに、オススメどうりの内容で、あまりもあからさまだ。まあ、ファックス依頼文のスクープがなかったら、わからないかもしれないけれど。で、この人はやっぱり5000円もらったのかなあ。これで5000円はちょっともらいすぎではないか。パフォーマンスの完成度(いかに真にせまっているか)にしたがって賃金もランク付けしなければ、やらせのクオリティは下がるばかりである。なお、下記は官邸のタウンミーティングページにある上記ビデオの質問の要約。上の依頼にそっくりで笑える。

教育の原点は家庭教育だと思うが、家庭の教育力は低下している。教育を安心と温もりある場にすることを国民全員が願い、知恵を出し合っていくべきだが、国の体制はどのようになっているのか。教育基本法案には、家庭教育の規定が追加されており、大変期待している。教育は、学校、家庭、地域がその役割を明確にし、いろいろな取り組みをしていかなければいけないが、詳しい政策があればお伺いしたい。(主婦)
http://www8.cao.go.jp/town/hachinohe180902/youshi.html