日教組の組織率推移

日教組粉砕”が教育基本法の改正を支持するもっとも一般的な背景だろうというようなことをこのところ何度か書いていた。その後もこんなページのコメント欄をみていても、やはりそうなのである。実際には日教組の影響力なんて低下しているんじゃないの、という印象が私にはあったので、実際にどうなのかと調べてみたら文科省に数字があったので、組織率の経年的な変化をプロットした。文部省にPDFもあるんだけど、個人的にはあまり美しくないプロット(エステティックにということだが)だなあと思ったしPDFを見る人もあまりいないだろうということで、描きなおした。使ったのはHTMLに載っている数字テーブル。

1957年から2005年までの調査の結果で、赤丸が日教組。1989年末に日教組は分裂して、社会党系が残り、共産党系の全教(全日本教職員組合)が結成されたので、1990にがくっと減っている。赤三角が全教の割合。日教組の%と全教の%を足したのが青丸で、まあ、こうしてみても全般に組織率は一貫して減少している。
ついでながら、補足としてミクロな視点の意見はどうなのかな、とおもったので、お子さんのいらっしゃる、つまり現場の人であるid:kaerudayoさんのコメント欄で質問してみた。(id:kaerudayo:20061113)以下がそのやりとり*1

# kmiura 『どうも。リンクありがとうございます。
質問なんですが、目下の小学校での日教組の影響ってどんなかんじなんですか。』

# kaerudayo 『どうも。通っているのは東京23区内の小規模校なので、入っている先生はいるのかな〜という感じですね。全員で20人ぐらいしか先生もいないので、組合活動に熱心だったら、すぐわかると思うんですが。管理職との反目の噂も聞かないです。私が育ったころは確かに日教組の影響はあったと思いますが、70年代と今とでは左翼運動の勢いも違いますし、多方面から情報も入るし、選択肢もありますし、それほどやっきになって排除する組織とは思えないのですが。』

# makiron 『東京都でも「国民保護計画」が策定されてます。有事を想定しての体制作りです。
今の殊勝は在任中に「憲法改正」を議論しますと明言しています。
教育基本法の改正」は、有事に対する体制を確立するための、3本柱の1本かと思ってしまいます。良いか悪いかは別として。』

# makiron 『憲法改正して、有事の体制作りして、子供に対する教育も見直して、貧富の格差増大は放置して…。下流社会に属する層はどうする?アメリカ流にまったくもって美しく当てはまります。』

# kaerudayo 『どうも。私は米国をちっとも美しいとは思わないので。米国には大好きな人がいっぱいいるんですが、国としてはどうもダメです。なんか、いろんなことから目指す社会像は暗そうですね。』

# kmiura 『お答えありがとうございました。日教組がいまだに目の敵というのは実に不可解だな、とおもいます。あるいは地域差でもあるのかな。』

# kaerudayo 『地域差はあるかと思いますが、少し調べてみたら、全国での組織率20%台でした。高年齢化が進んでいるという話も聞いてます。東京は石原都政で統制が進んでますから、余計に組織率は低いでしょう。教育については、思想と言うより、もう良心レベルでの統制じゃないかというのが目に余っていてうんざりしている方は多いと思います。問題教師についても、日教組というよりは、どこの組織でもある“向いていない人”や“やる気がない人”じゃないかなと思うんですが。実感では。』

(中略 他のトピックに関するコメント)

# イロミ 『日教組に力があるなんて北の地方都市でもまったく感じません。月1万円!の会費を平気で取っていくその運営が、労働者の気持ちをわかって無さ加減を象徴していて、すごくいや。』

# kaerudayo 『うわ、1万円もするの!? なんかの保険を兼ねていたりするわけ、その金額ってことは。』

賛成しているひとたちに、実際には日教組は弱体化していますよ、ほうっておいても組織率は減りそうです、と教えることは反対している側にとってひとつの重要なポイントなんじゃないだろうか。

*1:勝手に引用しますが、もし登場する方で都合が悪いので消してほしい、ということであれば消します