シラバス

知りたいことがあったら、てきとうにキーワードを組み合わせてグーグルないしヤフーなどで検索してみる、というのが目下誰でもやっていることだろう。私はずいぶんとこの恩恵にあずかってきた。特に仕事であるていど系統的にものごとをしりたいときや、理論を一応頭にいれておきたいときなどは、しっかりとそうした内容の書かれたサイトがあったりするので、大助かりである。特に参考文献などが挙げられていると、引き続きの展開まである。しかしながら一方で検索の難しさもある。クズ情報がやまほどあるから、そのなかから読むべきページを探し出すのはなかなかの労苦になる。リンク集、などもあったりするが、リンクを選択した人間がてきとうに張っただけのリンクであった場合、幾何級数的にクズ情報にあたる確率が増える。物理などの一般的なトピックであると、特に日本語で検索したときに大変なことになる。まず面倒なのが本のチャプターとマイナーソフトウェアの仕様書である。キーワードだけが書かれていて、覗いてみてもなにも知ることができない。さらに徒労感に輪をかけるのは文科省がこの何年だか強力に推奨している「シラバス」である。講義の要目、とでもいおうか。ウェブ上に大量に転がっているために、トピックだけが羅列している意味のないページが次々にヒットするのである。やたらと目に付く。実に無駄である。シラバスをウェブに抱えない教官にはダメ教官の烙印をおします、といった脅迫が裏で回っているのだろうか。たしかにその大学に属し選択する講義を吟味する学生にはある程度の情報を与えるだろう。しかしながら、地球の裏側でもそれにひっかかる人間がいるのである。私にとっては形だけのタテマエ情報である。
ウェブ上のクズ情報はどんどん増えてゆくだろう。いずれウェブでの検索は森をあるいてキノコを探すような話になるのだろうか。ヒットするまで私は森のかなをうろうろしつづける、というようなことになるのである。でもシラバスは森のように美しくはない。