インド洋津波:「日本の防波壁が首都を守った」モルディブ 毎日新聞

ODAで日本のゼネコン大儲け、の絵以外のなにものでもないはずだが、その70億円と日本の技術が一国の首都を救った。スバラシイ。以下、西日本新聞2002.09.03朝刊より。

グライドゥと同様に、モルディブ各地で、海岸沿いのヤシの木や家屋が倒れるなど浸食の影響が報告されている。
 しかし、首都・マレだけは事情が異なる。
 グライドゥとさほど変わらない面積の島に約七万五千人が住む超過密都市。政治、経済の中心地でもあるこの島の海岸のほぼ全周が、コンクリートの堤防や巨大な消波ブロックに囲まれているからだ。
 一九八七年。マレは大洪水に見舞われた。オーストラリア付近で発生したサイクロンの影響とみられる高潮で、島の三分の一が浸水した。その翌年、日本の政府開発援助(ODA)により、島の全周約六・八キロを囲う護岸工事が始まった。
 総額約七十億円かけた工事は十五年の歳月をかけ、今年中に終わる見込みという。
 工事を請け負った大手ゼネコン大成建設モルディブ作業所、平田和之所長に、工事現場を案内してもらった。
 照りつける太陽。出稼ぎのスリランカ人の作業員が、真っ黒に日焼けした体をさらにジリジリと焦がしながら、汗だくで重機を動かしている。セメントや砂など資材はすべてインドネシアやマレーシアからの輸入という。
 「まあ、直接的な地球温暖化対策というわけではありませんが、今後、少々の海面上昇が起こっても大丈夫」と平田さん。
 消波ブロックは三トンと一トンの二種類があり、五十年に一度の高波にも耐えられる設計。海面から約三メートルの高さまで積み上げた消波ブロックは計四万個にもなる。
 せっかくの美しい海岸が台無し―そんな批判も受ける。が、今、それに代わる現実的対策はない。平田さんは、そう思っている。