京友禅アロハ

寺田寅彦 「柿の種」 おれカネ先生経由。最初のほうだけ読んだが、岩波の随筆集凝縮バージョン。端麗辛口。スバラシイ。

 脚(あし)を切断してしまった人が、時々、なくなっている足の先のかゆみや痛みを感じることがあるそうである。
 総入れ歯をした人が、どうかすると、その歯がずきずきうずくように感じることもあるそうである。
 こういう話を聞きながら、私はふと、出家遁世(とんせい)の人の心を想いみた。
 生命のある限り、世を捨てるということは、とてもできそうに思われない。
大正九年十一月、渋柿)

俳句や短歌と同じように結論は放り出され、読者は路頭にまよう。情感が胸に沸き立つ。でも、日本的感性の理系の受け皿ってどこにあるのだろう。類する疑問を寺田寅彦の孫弟子に質問したことがある。子曰く「みんななかよく、ですね」。というわけで私はやはり放り出されたのだった。

それにしてもアロハ好きの私としては垂涎のデザイン、でも生地にもよるよなあ。