築地の場外の刃物屋で牡蠣剥きの器具を買った。ヨーロッパと比べると、刃渡りが長く細身。日本の牡蠣のほうが一般にサイズが大きめだからこのようなことになるのかな、と思う。店の人に、牡蠣剥き器のことをきいたら、プロ用のものもあるというので、見せてもらったのだが、切り出しナイフを細くしたような形で、先端はとがっている。斜めに短く刃がついている。貝柱をキレイにさくっと切ることができるそうである。彫刻刀にみえなくもない。カッコイイ、と心の中で感嘆し、欲しくなったが私は普通の牡蠣向き器でも手をさすことが時々ある。とくに酔っ払いながらやると刺す。かくなるプロ仕様でやったら、手の平をざっくりやってしまう可能性があるので、自ら禁じることにした。あー。それにしてもかっこいい刃物であった。

成田空港の本屋で(思えば今回本屋にいったのはこの本屋だけだった)中央公論の大学問題関連の特集に気がついたので、買って機中で読んだ。立花隆が、大学は終わっているが、大学的なものはインターアクティブという面が残る、といっている。いわば大学2.0。それは確かなんだけど、モデルがまだできてないいんだよな。吉見俊哉の大学院の現状報告は、現状を私はしらないだけに、えー、という感じだった。いまや大学院における院生によるディスカッションのリーダーは中国・台湾の留学生なのだそうである。また、大学・大学院人事の流動化はその他企業・官庁の流動化が伴っていないので、窒息しているという話はもっとも(私もこれは前になんどか書いていると思う)。後半でサンデルを東大に講演招待したのはオレだ、という話になる。これもインターアクティブな部分ということででてくる。

20世紀型の大学は知識を利権としていた。しかしいまや知識にはいくらでもアクセスできる。利権が崩壊したのだから、大学が危機に瀕するのはあたりまえの話である。とはいえ、だから大学のインターアクティブな部分こそがこれから大事になります、といったところで、「大学の耐えられない軽さ」はますます軽くなるばかりだろう。知識の占有が「重さ」だったのだから、それが無効になったら、重さはないに等しいい。上の特集はしたがって、問題の解決策を示したものではない。

体系はいわばカタである。チャート式に示すこともできるが、自分でやらないと実はわからない。こうした観点から私はいろいろ思うところがある。簡単な例として大学教育がなすべきことのひとつは、いかにしてグーグル検索(ないしはその他検索)するか、ということを徹底して教えること。検索は単純なようでいて、奥が深い。検索をいかに効率よく、偏らず、うまく網羅して情報拿捕できるが、というのは、あまり確立されていない技術である。検索が下手な人を眺めているとよくわかるが、検索の上手下手は背景に持っている知識の広さと、思考の柔軟さが鍵になる。たとえば、なにをキーワードにして検索すべきか、ということがまず設定できなければ、検索はそもぞも始まらない。これはよくある「問題設定」問題の簡単バージョンである。

それにしても無珍先生は帰路の機中絶好調でノリノリ、何人もの全日空フライトアテンダントにキスしていた。色男記録更新である。

食事記録

10日 

水菜と大根のサラダ、鯵開き。数の子。まいたけ、もやし、春菊の味噌汁。来客の面々と共に茹でたアラスカ産タラバガニ、水菜と大根のサラダ第二弾。茹でホタテ貝柱。いくらしょうゆ漬け。酒は鉄幹をお湯割りで少々。

11日

築地場外の鮨屋でいろいろ。鰤の刺身は新潟のほうがよかったな。鯵を二回握ってもらう。新鮮だといわれて食べた車えびはたしかに動いていたが、新鮮すぎるエビはあまりうまくない。適度にプロテアーゼが効いてとろっとしたぐらいのほうが甘い。赤えびの握りがうまかった。印象に強く残る味。無珍先生は特性のミニ中トロにぎりをつくってもらってパクパク食べていた。帰り際に残した鉄火巻きは、ラップに包んでポケットにいれておいたら、後の道中、大好評だった。場外をうろうろしていたら、試食リッチな状況で、無珍先生はからすみの切れ端をもらって、大歓声をあげていた。チーズとかこの手のタンパク質の塊みたいな食べ物が好きである。夜、残り物総ざらい。ジョニーの豆腐、さしみ湯葉、いくらと数の子のしょうゆ漬け、えぼ鯛開き、水菜と大根のサラダ、中華クラゲ、栃尾の厚揚げ。

12日

空港でラーメン。麺はうまいが、チャーシューとスープがあかん。無珍先生は麺だけたべていたので正解である。機内食。豚の角煮だったと思うが、半分ねていたんであとはよく憶えていない。

13日

朝6時からカルボナーラ。にんにく抜きが本場のやりかただ、とイタリア人にさんざんいわれてきたので、はじめてにんにくなしを試みるが、どーもあっさりしすぎである。うちの近くの川がちかく洪水だとかで、水面下になる借りている駐車場が封鎖になるとのことで、路駐するための書類をとりに行ったりしていて、途中にあるバーで昼飯のハンバーガー。