チーズと決闘

長旅のあとの帰宅、冷蔵庫がほぼ空になっておりそこから発掘したカビの生えたパルミジャーノ・レッジャーノをしばし眺め、うーむ、かびをぬぐえばいいか、と適当にキッチンペーパーで拭ってからおろしてたべたら見事にあたって40度の熱が出た。熱がいちばん高かったときにいろいろな幻覚がうかんできたのだが(某国工作員に毒を盛られたとか、遺言状を書いている自分とか)最初に思いつくときは半ば冗談なのにしばらくするとそれが真実のような気になってそのうち本気になっている。熱が引いてから怖いものだ、とつくづく思った。それにしても普段であればかびがはえていたら廃棄するか、無菌培養の手順でコンタミしないように汚染部分を慎重に切除して使用するのだが、旅のあとで不精になっていたのでかくのごとし結果となった。油断大敵である。