そういえば思い出した。
9月に日本の大学で学部生向けに講義したあとで、女子学生が質問にやってきた。
「独創的なものの見方ができるようになるには学部の間になにしたらいいでしょうか」
ありえん。なんつー質問だ。独創性育成マニュアルなどというものがあるのならば、独創性そのものが疑われる。100万光年先の人間が目の前にいるような気分でしばし絶句。だが答えた。
「料理をしなさい。オリジナルなものを作ってみて、成功か失敗か即判明するのは料理です。」
我ながらあほかとおもいながら答えたのだが、予想に反して
「はい、わかりました、がんばります」
満足したのか馬鹿にしたのか、素直に去っていったのだった。