クリップ 動員部隊と常設部隊
(永井さん) 戦時動員部隊となると、慰安所の付設が認められることになります。陸軍の規則からすると、慰安所は編成上は動員された部隊(野戦部隊)に付設されるのであり、常設部隊には付設されません。
(野原さん) そうなのですか。やはりなんとかいっても慰安所とは公娼制度のようなものといったイメージを持つので、ドンパチやってる前線ではなく一歩も二歩も下がったところに在るべきものと思ってしまいます。ある意味でそれは逆なのですね。軍隊が平和な地域にある常設部隊なら、まさに純然たる民間の公娼でまにあうわけだ。
沖縄は小さな島なのにやたらと慰安所があったみたいですが、やはり戦闘前夜みたいなストレスが高まるほど慰安所も設置されるということなのでしょうか。
やはりその、日本軍独特の文化ということなのですかね。(永井さん) そうです。逆なのです。慰安所は戦地に派遣される、動員部隊にのみ許されるのです。
日本国内にある常設部隊にはそのようなものは存在しません。そんなことをすれば、皇軍は天下の笑いものになって、その権威の失墜は免れませんから。ですので、動員部隊である本土決戦部隊に慰安所が付設されたかどうかに興味があるわけです。
なお陸軍の場合、戦時編制(動員部隊)と平時編制(常設部隊)ははっきりと区別されています。人員数はもちろん、装備から付設部隊の構成まで、大きく変化します。
満州国に駐屯していた関東軍には、一部を除き、最初のうち慰安所は付設されていませんでした。関東軍全体に慰安所が付設されるようになるのは、関東軍が戦時動員される関特演(1941年7月)以降です。このとき慰安婦2万人動員計画がたてられます。実際には、2万人も集められなかったようですが、慰安所が普及したことは事実のようです。
ですので、動員部隊に慰安所を付設するのが、その頃には軍編成上のルールになっていたようです。日中戦争中に生まれ、定着した日本軍独特の制度ということになります。
http://d.hatena.ne.jp/noharra/20070412#c1176724535
http://d.hatena.ne.jp/noharra/20070412#c1176735967
”ご褒美”だったんだな・・・