日本鯨類研究所 vs 米環境保護団体シー・シェパード

日本の調査捕鯨船に突撃した米国環境保護団体のゴムボートが、浸水し他の仲間から脱落、一時行方不明になったってな記事が先日あったのだが
鯨船と衝突し一時不明に 米環境団体の高速ボート (共同配信記事、2007年2月9日付)
日本人が負傷って書いてあるのだが、二人乗りのボートで捕鯨船にアタックして日本人が負傷っつーのは一体いかなるボートなのだ、と思たのだが記事にはくわしいことが書いていない。妙な話、と思っていたらガーディアンにもっと詳しい記事がでていた。
Activists rescued after clash with whalers (2007年2月10日付)
なんとこの環境保護団体は酪酸捕鯨船に投げ込んでいたらしい。粘膜やられて負傷、ということになる。死にはしないけどひどい悪臭だし、ヘタしたら失明である。このシー・シェパードって団体は最右翼だか最左翼か、過激派であって「エコテロリスト」なんて呼ばれてもいる、とも同じ記事にかかれている。
彼らは今月出たIPCCの報告を読んだらいい(PDF)。自然変動なのか、人類の活動によるのか、という点はこれまでも議論になってきたことだけど、今回の報告は「人類の活動による温暖化」のダメ押し、とのことである。
地球温暖化の予測は数年前よりもかなり深刻になっている。注目すべき点は、空気中の二酸化炭素濃度が増えると付随して海水への二酸化炭素が減るという話とか、植物の根が腐って地中バクテリア二酸化炭素生産が増大するので、二酸化炭素濃度の増大速度はどんどん高まっていくという相乗効果(ガーディアンの記事。今週のウィークリーレビューのトップだった)。いやはや。シー・シェパードのかたたちは日本人が年に200頭捕獲して食べ尽くすより温暖化で絶滅になる、とか考えないのかなあ。今後およそ100年の間に4度から6度気温が上がるという(追記 id:rnaさんからブックマークコメント。『リンク先のIPCC報告書では最悪のシナリオで2.4-6.4ってありますが。4.0はこのシナリオの最良推定値。レンジの下半分切るのはずるい。』正確を期さずもうしわけない。また注意してください。)。私が気になるのはウィルスやバクテリアの突然変異頻度が上昇するだろうから、新しい病気がこれからどんどん出てくるんだろうな、ということ。日本では少子化が焦眉の課題なんてことになっているが、もうすこし長い目では鯨の問題と同じく、それどころではない、ということになるかもしれない。
なお、遭難しかけたシー・シェパード特攻隊員の捜索には、一時休戦(というか、捕鯨船は好んで闘っているわけではないと思うが)で日本鯨類研究会の船も捜索に協力したのだとか。で、うまくみつかって救助されたらまたおっかけっこをしているとのこと。ほとんどスポーツですな。