帰省

一年ぶりに今日から日本。飛行機の中で隣に座っていた女の子の日本語がどことなくたどたどしかったし、パーサーとべらべら某ラテン系のことばで話していたので”日系二世”と思っていたら、某地中海沿岸の国在住まではあっていたが、3年しか住んでいないのだそうだ。大学受験関連かねて一時帰国だという。イギリスの大学も受ける予定で、そちらは生化学だ、というので長い話になった。いろいろと質問するので、ラップトップをひろげて説明した。見た目はパーティーな毎日イケイケ、なのだが、実にしっかりと勉強しているようで感心した。さらにうちの研究所の名前まで知っていたので、うむむ、やるなあ、と思った。日本の大学ではどこ受けるの?と聞いたら、日本では理系は受けない、だってシステムがちがうから入試試験に合わないし、生化学ないでしょ、というので、いやそんなことないといろいろ説明したのだが、結局あのニッポン理系学部の雰囲気がいやみたいである。それじゃあしょうがないよなあ、と思った。日本に帰りたい?ときいたら実はあまりかえりたくない、といっていた。「自由じゃない」。印象にのこる返答だった。彼女に引き比べて、かつての中学三年生の私ははやく日本に帰りたくてしかたがなかったのを思い出した。
知ってはいたが両替してユーロ高にあらためてぶったまげた。感覚では普段100ユーロ=一万円で生活しているのだが、いきなり1.5倍である。タバコ一箱600円かよ。
新宿行きのリムジンバスに韓国人とフィリピン人がたくさん乗っていてやんややんやとにぎやかだった。首都高ののろのろ運転もあいまってあー、アジアに帰ってきた、と脳髄で感じる。
電車にのると、いつもの東京だ。向かい側で20代半ばぐらいの若者が二人そろってケータイを覗き込んでいた。しぐさがそっくりなので無意識に連れかとなにげにおもっていたのだが、そうではないことに一人がなにもいわずにさっと立っていなくなったときに気がついた。