突然ですがこれすごいです。

忘れないうちに。Youtubeより。

梅本真里恵シークレット一人芝居
「風の谷のナウシカ」

一人の人間ができることなんてたいしたことじゃない、ってな世間的な言い方がありますが、これを見ていると覆される。最初の10分ぐらいは、しぐさや表現の滑稽さにくすくすしたり、テロップをすべて記憶していることに感心したり(つまり人の名前とか)、でもこれってナウシカのアニメをみていないとわかんないよなあ、と思ったりするのだけれど、20分ぐらいたったころからなにやら、すごいことが起こっているのを感じ始める。30分ぐらいたったら、ひたすらもう、食い入るように見ている。すごい、というのは大事件がおこるわけではなくて、一人の人間が延々と、道具もなしに動き回り、喋り、解説しつづけるその表現の圧倒的な量を感じはじめるのだ。じわじわじわ、と感じはじめる。それが100分続くのだ。120分の講義とかをすると、魂が抜けたような気分になる。脳味噌が裏表逆になってさらけだされた、というか。それどころではない。この一人ナウシカの場合は空間がなんども構造化され、意味をもたされ、説明され、なにもないそこに世界が立ち現れるのだ。ピアノのソロで60分、とかあったりするけれどもそれともどこか違う。この人は体を延々動かして、なおかつ喋っている、つまり体以外のなにものも使っていない。表現すること、としてこれほどの王道はなかなかないだろう。一人芝居といえば、イッセー尾形なのだが、あの洗練のされかたとは違ってひたすら野蛮で乱暴で、でも一生懸命。このひたむきさは、演じられているナウシカそのものだ。