ダブル扉

今度のアパートにはバスルームをのぞく各部屋に二つ扉がある。つまり家のなかをぐるぐる回ることができる、ということである。なんかムダだなあ、と思っていたのだが、このムダ、という考えは私の中に根付いているリニア-志向のせいらしい。住み始めてみるとこれがかなりよいのである。行きたい場所に直で行くことができる、という点もあるのだが、全体に空間の経験が複雑になって、同じ面積でも印象がかなりかわるのだなあ、と感心している。でもよく考えれば、日本の昔の家屋は、三方、四方からふすまをあけて人が出入りすることができたわけで、なおかつ回廊のように外側に廊下がついていて空間の経験という点からははるかに複雑なのだろう、と思う。