おぜんだて

ポスドク活用へ対策

多くのポスドクが自らの将来に不安を抱いている。明確なキャリアパスが示されていないためだ。そこで文部科学省は、平成18年度予算でポスドクのキャリアサポートをする機関向け競争的資金を創設する。ポスドク問題を研究室レベルから、機関の問題へと転換させるためだ。科学技術・学術審議会の人材委員会(主査=小林陽太郎富士ゼロックス会長)が20日まとめた「多様化する若手研究人材のキャリアパスについて(検討の整理)」を受けて概算要求に盛り込むことになった。
(中略)
 そこで、ポスドクに関する問題を研究プロジェクト内の課題から研究機関の組織としての課題へと転換していくことが必要だとしている。研究機関、産業界や学協会、学校、科学館、NPO、人材関係事業者等の様々な主体が集いネットワークを作り、情報交換やキャリア形成に関する相談などを行う場の構築。学協会やNPO等が行う、流動化やキャリアパスの多様化に資するような講習、研修会の開催。
(中略)
500人以上のポスドクのキャリアサポートができる組織が対象で、5年を上限に年間数千万円を支援する。支援終了後、自立してやっていけることが条件。対象となるのは、大学、研究機関、NPO、学協会などの組織。文科省の調査によると、大学単独で500人を超えるポスドクがいるのは、旧帝大東工大、筑波大くらいしかない。そのため、地域の大学が連携して組織を作ったり、特定分野のポスドクを支援する学協会やNPOなど、様々な方法が考えられる。場合によっては企業でもいいという。

(科学新聞より。)

旧帝大学+αの事務が潤うだけで、ポスドク自身には役にたたないだろーなー。受け皿がないのだから。そんなことよりも小額でいいから戦略どうのこうのいっていないで自由なグラントを増やすことのほうが重要。加えて大学だけ流動化してもその他が流動化しなければ「多様化」には程遠い。
あるいはより広く受け皿を広げる、というのは例えば年々科学に対する関心が薄れ、科学雑誌が軒並み廃刊になっていくような国では難しい。幅を広げるには時間が必要なのであり、科学技術リテラシーの普及活動ごときものも始まっているが、これにポスドクの拡充が先行してしまったのは不幸としか思えない。科学は単純素直におもしろいものだと思うのだが、余計な尾ひれが付きすぎて厚化粧というか子供だましというかそんなのばかりが跋扈している。それをリテラシーといえるのかどうか。そもそも科学者自身が”楽しい!”と思ってやっているのか。おもしろくない人間がやっているおもしろくない話に人を振り向かせようとするのは一種の詐欺である。と私は自分でいつも思っている。おもしろくなかったら私は即やめる。