マツリ・ア・ラ・シノワ

以下、長い引用。いってみれば、公認の「海岸清掃オフ」みたいなもの、ということか。サイトからすぐに消えてしまうJMMなので、中国デモに関心のある人はなるべく早くアクセスして全文を読むようにお勧めする。
JMM [Japan Mail Media] No.318 Thursday Edition
http://ryumurakami.jmm.co.jp/recent.html

『大陸の風−現地メディアに見る中国社会』 第43回 「見知らぬ隣人」
ふるまいよしこ :香港在住・フリーランスライター

 確かに中国には収入格差という矛盾があり、ある意味社会問題化している。それはこの「大陸の風」でも何度も触れてきた。しかし、今回の事件を「収入格差を含む社会問題に対する怒り」と言い切ってしまうのは全くの間違いだ。
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 各国の報道を読んでも、実際に現場で取材をしたメディア関係者(非日本メディア)の話を聞いても、デモの参加者はほとんどが20代から30代の、大学生や中国では「白領」と呼ばれる人だちだった。この「白領」とは英語の「ホワイトカラー」を直訳したものであり、中国では大学や大学院を卒業し、大企業で高給をもらって働いている層で、日本の感覚では「ヤングエグゼクティブ」にあたる。全国的に大学進学がまだまだ激烈な競争の結果によるこの国からすれば、首都北京に暮らす大学生やヤンエグたちは、中国にとっての「期待の星」であり、彼らもそれを十分認識している。
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先にも書いたとおり、すでにマイホームやマイカーを手に入れた彼らの消費欲は今の日本に勝るとも劣らない。中国の大都市の消費はそんな彼らによって支えられている。そんな彼らの身辺に、日本製品が、または中国で生産された日本ブランド品が全くないはずがない。なのに、そんな彼らが「日本製品不買」を叫んで商店の店先から日本商品を引っ込めさせ、日本製品の広告を破り、和食レストラン(これもまたヤンエグたちの新たな消費メッカである)の窓を叩き割る。そして家に帰れば、ドアを閉めて「ああすっきりした、愛国活動だ」といって日本製品でなごむという構図。
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以前も書いた通り、中国政府はここでもまた「口コミ」と「マスコミ」をうまく使い分けたのである。そして、その口コミの手段の最先鋒がインターネットであり、これまたインターネット教育を受けたヤンエグや大学生を母体に最も利用されている情報手段だという図式は、ここに暮らす人なら誰でも知っている事実である。
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 破壊活動を繰り返し報道したマスコミには、次に「なぜデモに参加しなかったか」をきちんと取材していただきたい。すでに報道された映像や画像にはデモ参加者2万人が映っていた。しかし、それ以外の、2000万人もの日本人が見知らぬ北京の人々の姿はなかったのだから。そうすることで、そこからまた何かの答や方法が見つかるはずだ。