味蕾の伝承

英国食事事情がひどいというのは、かなり有名な話である。ドイツ人が「まずい」というのだから下には下があるものだ、と私はよく思う。この一側面である学校給食の話をみつけたので、下記引用。

 味がないというのを乗り越えたと思ったら、やたら塩辛い、妙に甘い、意表をついた不思議な味などテイストにセンスがないのはともかく、子供の健康をまったく考えていない学校給食の実態が明らかになって、親は愕然、子供のいない私でさえ、こりゃヒドイということになった
 以前からくすぶっていた話ではあるものの、ここまで大きく取り上げられる発端となったのは、テレビの4回シリーズ番組で、日本でもおなじみ「 Naked(裸の)シェフ」ことジェイミー・オリバーの“Feed Me Better”キャンペーン。さしずめ「いいもん、食わせろ」キャンペーンか。ジェイミー本人も子を持つ親として学校給食に興味を抱き、実際に学校に出向いて実態調査。そこで見たものは、ジャンク・フードとしかいえない代物だった。

『ロンドン〜スクエア・マイルから』 丸國葉 第28回 「裸のシェフ革命」
JMM [Japan Mail Media] No.315 Thursday Edition
http://ryumurakami.jmm.co.jp/

英国の味蕾を救おうというジェイミー・オリバーのサイトは
http://www.jamieoliver.com/
産業革命時の都市への単純労働者流入とともに伝統的な味覚が単純化されていった、てな話を聞いたことがある。一度失われてしまうと悪循環で親から子に伝わる味覚の世界はどんどん崩壊する。同時にまじめな料理を作る料理屋が値段を理由に見向きもされなくなり、味覚の荒野となる。少々ましな事情のドイツにしても、宇宙食のようなびん詰めゾルを子供に食べさせ続けているドイツ人の親たちを見ていると、あー、荒野だなあ、と思い、値段だけで食事の価値を判断する大多数の人たちに、貧しいなあ、と私は思う。悲しいことである。

JMMは最新号しか読めないので、全文読みたい方はお急ぎを。