健全なる善男善女

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【よく出てくる言葉】

 講師も参加者もよく使うキーワードがある。肯定的に使われるものと、そうでないものにハッキリと分かれる点が興味深い。

肯定的

--良識的
--普通の感覚
--健全なナショナリズム
--庶民
--日本人としての誇り
--伝統
--産経
--石原慎太郎靖国神社公式参拝のときに顕著)

否定的

--左翼
--サヨク
--市民運動家(ヒステリックな、という形容詞も多用される)
--人権主義
--朝日(朝日新聞のことを「朝日」と呼ぶ)
--マスコミ
--官僚(弱腰外交などを含む)
--一部の政治家
--社民党共産党
--中国
--韓国
--北朝鮮

<普通>の市民たちによる「つくる会」のエスノグラフィー
新しい歴史教科書をつくる会神奈川県支部 有志団体「史の会」をモデルに〜
上野 陽子

以上頻出語のリストを見ているだけで文章が出来てしまいそうでなかなかおもしろい。言葉に色がついていることで私見はなくとも意見は言える、ということになるのだろう。

 このような「下からの」ナショナリズム、いわばポピュリズム型運動を、たとえば「自民党・文部省が一貫して企ててきた教科書攻撃の一環」「右翼」「ファシスト」などと攻撃しても彼らには届かないであろう。なぜなら、こうした運動の参加者には、自分たちが、「体制側」であるという自覚も、「右翼」的な「イデオロギー」を信奉しているという意識もなく、「健康」な「常識」=「リアリズム」に従っているだけだと思っているからである。

小熊英二 『「左」を忌避するポピュリズム』世界1998年12月号
上野論文からの孫引用

いやはや、むべなるかな自己同一性。