3人の友人とイタリア料理屋で飯を食っていた。一人がなかなかこない。赴任したばっかりだし、場所知らなかったかもなあ、などといっていたら、それとはまた別の知り合いのフランス人の女の子がすごい勢いで我々のテーブルに向かって来た。息も荒く椅子に座るやいなや、ヒッチハイクしただけなのに1時間かかった、とんでもないボロ車で大変な目にあった、とおもむろに喋り始める。研究所の出口で親切にも車に乗せてくれたのはよいが、山から下りてくる途中で車がエンスト、オイルもバッテリーも切れ、なおかつボンネットもなぜか閉まらず30分車を押すハメになった、信じられない、なにあの車、と息巻いて怒っている。いやー、そりゃ大変だったねえ、ご愁傷様、などと半ば私は他人事で答える。
そこにやってきたのが、なかなかこなかった友人。「車がこわれちゃってさー」。それでやっと気がついたが、壊れた車は私が彼に3万円で売ったばかりの車だった。