昨晩は研究所に新しくフランスからやってきた理論物理のポスドクとビールを飲んでいた。箸のことをフランス語でバゲットという、と教えてくれた。パンといっしょかよ、といったら、そう、形が似ているでしょ、ドラムのスティックもバゲットっていうんだ、と答えた。
だったら、もし中華料理のライブハウスで出番を待ちながら飯を食っているドラマーが、ウェイターに「バゲットください」っていったら、そのウェイターは果たして間違えずにドラマーが所望したものを持ってきてくれるだろうか。私はきいてみた。フランス人は即座に、そりゃ間違えないよ、と言う。なんで?とさらに私は聞いたがしばしとまどって、笑いながらわからない、なんでなんだ、わからないよ、うーん、だけど間違えない、うーん、といって、頭を抱えるしぐさをしていた。