合掌・中島らも

梅田で酔っ払って階段を二階分転げ落ちた。そのまま気絶して、はっと気がつくと私はアスファルトにうつぶせになり、すでに朝だった。道路の反対側で、犬の散歩中のおばちゃんが私をじいっとみていた。起き上がろうとする私と目があうと、あわてて去っていった。
尻のポケットの財布を確かめるとなくなっていた。およよ、と思いながら探すと、5メートルほど先に落ちていた。財布には紙が挟まれていた。そこには「いやん!まいっちんぐマチコ先生」と大書されていた。金は当然なくなっていた。