その2 吉本的な破壊 

吉本隆明については極東ブログid:finalventさん(ココログに移られました)が時々書く説明が参考になるかもしれない。切実な迫力があります。複数あるんで極東ブログを探してみてください。私はこのところ、日本の思想なり評論って結局いまだに吉本的なるものを乗り越えていないなあ、と思ってた。無視するとか、なかったことにしている場合が多い。実は私はずっと吉本なんて、って思っていたけど、今みたいに言説と社会のアクチュアルな状況の緊張感(たとえば米国のイラク侵略とか自衛隊派兵とか)が増してきてそれとともにタケノコみたいにでてきた、状況に対する発言をいろいろ眺めるにつけ、すごいなあ、この数々の言説に比べたら、恐るべきかな吉本の破壊力、と見直してしまうのです。私の想像力が貧困なんだろうな。でも吉本隆明の思想(っていうより破壊力)は真正面から受け止めて、遅まきながら自分で考えておいたほうがいい、って思っています。吉本が凄かったのか、それとも時代がそうなったのか、私は評価できないけれど、詩人の感性が時代を言語化しているのかもしれないなんて思っています。

なにはともあれ、flapjackさんが「性急」といっているのは、そうした破壊力に一足飛びにアプローチしているように見えてしまうからだと思う。(flapjackさん、間違っていたら申し訳ない)すなわち、ちゃんと考えた人がいれば、バウムクーヘン(理論が太る)じゃなくて、スパイラル(理論が展開・発展する)の可能性もある。北田本は、スパイラルかもしれない、ということです。北田さんの2ちゃんねるに関する文章や、「アイロニストは自然主義者であるべきか」を見ていても、おー、なんか吉本的なるものを念頭にがんばっている、直球勝負(でもフマジメな不服従)に期待だあ、とも私は思っている。だから北田本を読むときは「これは水太りか、ないしは次への跳躍か」と思って読めばいいんじゃないだろうか。前者(社会学ジャーゴンインフレ、かな。あるいは知のマトリックス@Hizzzさん)があまりに多いからid:hizzzさんのような焼け野原にこそ普遍が立ち現れる、というような批判(違うでしょうか)、リリカさんのようなマトリックスの一刀両断もうなずける、と私は思っています。私はどちらかというと、吉本デーモン(それは吉本の論考とは限らない)の本質をもう少しみてみたい、という感じ。コワイモノ見たさ。