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ナウシカとテロルに関連して。
つい先日「死都日本」(石黒 耀、ISBN:406211366X)を読んだ。霧島火山帯の破局的な噴火(いきなり30 万人死ぬ)と引き続く東海大地震で壊滅する日本、という天災シュミレーション小説。人がバタバタ死ぬは、経済大国日本が滅亡するは、というクラいストーリーである。オタク度の高い火山学の知識がかなり正確だったようで、後に火山学会主催のシンポジウムまで開かれたらしい。天災による滅亡ゆえに日本は腐った政治システムを一新し、土地信仰を捨て去り、新たな技術の開発と、次世代の価値観を生み出す、という展望を一気に叩きつけて本は終わる。とある書評は「読了後にカタルシスを感じた。リセット小説である」と書いていたが(リンク失念)、私は底が抜けたようなポカンとした気分になった。
自然災害による社会の崩壊は一種の「ガイアツ」とうけとれなくもない。ガイアツでしか日本は変わりえない、という結論は絶望感の吐露である。カタストロフを主題にした物語がいろいろある。上記のid:jounoさんのコメントもそうだが、例えばAKIRAを私は思い出す。大好きなマンガだ。でもカタストロフ待望、の日本なのである。前世紀末、カタストロフをささやいた人間がどれだけいたことか。
東京なんて壊れちゃえばいいのである、壊滅してしまえばいい・・・私はこれがキライだ。リセットなんてできるもんか。私は東京にもっと腐って爛熟してドロドロに妖しくなって欲しい。私のイメージでは二十世紀初頭の上海。世界中の犯罪者、芸術家、諜報組織、美人、商売人が集まり謀略渦巻き文化の爛熟する都市...でも道路わきでは老人達が将棋をのんびりとさしている都市。