イラク情勢 2003年11月12日-13日

12日

イタリア野党、上下員でイタリア軍イラク撤退を要求。イタリア人の死者は昨日から一人増え、18人。一回の犠牲者としては、第二次世界大戦後のイタリアの平和維持活動で最悪。

米、暫定指導部の選出、暫定憲法の制定など、主権移譲を早めることを検討。改革の速度を速めたい、とパウウェル国務長官。アフガン型の復興を目指す。ただし「早期の撤退はない」とブレーマー暫定占領局代表。

...というや否や米軍、バクダットで攻撃ヘリ攻撃機を使った空爆。ゲリラ掃討「アイアンハンマー」作戦の一環。イラク人2名死亡、3人が負傷、5人を拘束。バクダット近郊では米軍が兵器貯蔵所を破壊。

バクダットで、道路わきにしかけられた爆弾により、ハンビーで移動中の米兵一人死亡、一人負傷。

13日

記者会見で福田官房長官自衛隊派遣について「地域、ニーズの内容を考えながら慎重に検討する」。「なるべく早く参加し、復興・人道支援をしたい」とも。小泉首相軍事アナリスト小川和久との会談後、「困難な状況だけに、極めて有意義な仕事だ」と強調。

自衛官10人の調査団をサマワに派遣することを決定。

  • > 毎日新聞は「年内派遣にこだわらない姿勢を示した」と解釈しているが、福田某のこの数日の発言はなにもいっていないことに等しい。要は米政府のイラク対応策が目下混乱しているので、米側からの日本への指示がまだないのだろう。イラク駐留米軍司令官のサンチェスが「戦争中である」と明言している。小泉首相は「この戦争に参加することは有意義だ」と発言を訂正すべきであるし、福田某は「戦争参加をなるべく早めたい」と明言しなくてはいけない。でなければ虚偽である。
  • >追記。 この記者会見で、「年内の派遣は断念する」と福田某は言ったと英米の各紙及び通信社は配信。[Link]これは世界的にはかなり大きな扱いのニュース。「あの忠犬ジャパンが??」というわけである。しかし日本の大手マスコミはまたもやはっきりとこの発言を取り上げていない。前回と同じく、京都新聞だけが報道している。実にナゾ。なお、米側は「自衛隊派兵を一時取りやめた日本に米国は怒りは感じない」とライス国家安全保障補佐官が発表している。[Link]おそらく昨日のブッシュ・ブレーマーのミーティングで、日本は当面派遣しないでもいい、と決定、日本に今朝連絡がいったのだろう。それにしても不可思議なのは日本の報道秘匿。どうなっているのだ。

イラク情勢に関するCIAの極秘レポートの内容がさらに詳しく暴露されている。筆者はCIAイラク駐留支局長。このレポートによれば対米反抗勢力は兵力が5万人。推定にはすぎないが、ペンタゴンがブッシュにささやいている反乱勢力の数をはるかに超えており、この勢力は旧バアス党以外の人間からも構成され、さらに一般住民の支持をひろげつつある。こうした支持勢力は、攻撃する兵士をかくまうグループなども含めて拡大中である、とのこと。

バクダットはいまや戦時下。夜には米軍による空爆、一般の住居では2時間毎に30分だけしか電気が供給されない。石油相の父であり、シーア派権力者であるモハメド・ベア・ウル・イルームは米軍に誤射を受けた。[Link;2003/11/13]

イラク復興関連事業をめぐって、ブッシュ政権の関連企業の多額受注、競争入札なしの発注、水増し請求などの事例が続発。

  • >毎日新聞。これはとても重要な分析記事だが、日本のほかのメディアは全く報道していない。

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神浦さんが実にまっとうな意見。

日本政府は今こそ、イタリア軍より自衛隊自爆テロのターゲットになる可能性が高いことを知るべきだ。なぜならそれがゲリラ戦の原則だからである。イラクに派遣される自衛隊員の背中には50億ドル(4年間)の札束が乗っている。米軍が主導するイラク復興の支援金である。アメリカのイラク政策を強く支持しているのは英国についで日本である。その自衛隊派遣に日本国民の多くが反対している。派遣される自衛官もテロリストに反撃する手段を禁じられている。テロリストにとってこれほど好都合な目標はない。
神浦J-rcom 03年11月13日
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先日触れたイラクのゲリラ戦に関するスコット・リッターの寄稿が和訳された。
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