右傾化する日本と原発

右傾化する日本、というイメージはコイズミ→アベという政権の挙動が報道されるにつれ、欧米では強まっているのだが、拍車をかけているのはサンケイ・コモリ記者のような人間と同時に、そうした歴史修正主義者の政治的プロパガンダをそのまま連呼しながら英語の新聞社サイトやブログのコメント欄におしかける連中である。たとえばさきほどたまたまみかけた次の記事のコメント欄。
Comfort Women or Sex Slaves?
これらの人間の書くことというのは、コメントをつけた記事の内容に関係なくほぼ同じ内容なので、英語だけ読む人間からながめたらあたかもどこかに組織された運動のように映る。日本は世界に対してひとつの確固たる国として存在すべし、という意識がその底には見えるのだが、この確固たる国というのが、単に世界に対立した意見を連呼すること、としか思っていないように思える。もうすこしいえば、極端な発言で日本を擁護すればするほど、日本の国としての地位が高まる、と思っているようにさえ見える。なんともナイーブなことである。
話は突然かわるのだが、先日の新潟の地震で起きた柏崎原子力発電所の火災に関連して、IAEAが申し込んだ査察を断り、それが報道されるや否やその後8月の査察を受け入れた、という報道がなされている。日本国内から見ればなにか隠したいことがあるに違いない、ということになるのだが、一般的な目でみれば、「国際的な連帯を拒否する日本」ということになり、上で述べたようなことも加えて孤立化を志向している日本、というイメージが強まっていくことになるだろう。むろん、これは外交としては破綻している。新聞記事を鵜呑みにすれば「忙しくて調査団の接待をする余裕がありません」ということだったらしいが、行動からみれば北朝鮮の核査察拒否とあまり変わりがなく受け止められる。

日本語がよめない人からの原発事故の眺め。

なにしろ原発の事故といったら、地球規模の災害である。「地震で火災」とあればだれでも情報を得たくなる。

一般的な新聞記事はいろいろある。
Company Says Radioactive Leak Was Bigger(AP 2007・0718付)
Japan Nuclear-Site Damage Worse Than Reported (The New York Times 2007・0719付)
Official criticizes Japan nuke plant (AP, 2007・0720付)

Japanese nuclear reactor under-designed for earthquake? (2007・0717付)
(「ネイチャー」が配信したニュース)

さて、それでは、と当事者のサイトにいって、情報を得ようとすると・・・

経済産業省 原子力安全・保安院(NISA)
http://www.nisa.meti.go.jp/english/index.htm
→英語でヘッドラインはあるが情報はすべて日本語。

このNISAからの3つの質問への回答として、東京電力が20日にプレスリリース(2007・0720付)
間抜けな内容なので一番目を紹介。なぜ冷却水漏れの報告がおくれたか、との質問に「放射線量を計る技術者が退避勧告で現場にいなかった」。改善案として、「緊急事態の際にも計測ができるようにする」。

[Order Item 1]
Inspect the cause of delay in reporting the leakage of water containing radioactive materials.

[Summary of Cause and Measures to be Taken]
a. Absence of technical staff for radiation measurement due to evacuation order given in the plant.

    • > Consider a system in which other staffs can execute radiation measurements

in case of an emergency.
b. Delay in measuring radioactivity in suspected water source.

    • > Consider procedure in case radioactivity is identified in uncontrolled areas.

原子力安全基盤機構の英語ページ。なんの情報もない。
http://www.jnes.go.jp/english/index.html

[追記] 現場視察報告 (日本語)
中越沖地震後の柏崎刈羽原発に行ってきました(伊藤良徳さん)
→ 写真をみていて、阪神大震災の朝眺めたアスファルトのうねうねを思い出した。

柏崎刈羽原発に社民党調査団で行ってきました (保坂展人さん)
→ IAEAは修復前に調査をしたほうがよい。直るのがまってからでは調査にならない。