フィウミチーノ空港

ローマ近郊で一日半かかった6時間分の出張講義を終えた後あと、フィウミチーノ空港へ。汽車から降りて空港につくやいなや、18時からすでにはじまっているイタリアールーマニア戦を眺めようとしたのだが、テレビがどこにもない。おかしいなあ、大スクリーンがありそうなものだけど、と思いながらセキュリティチェックを抜けてゲートにいったら、モニターがそこいらじゅうにあった。邪推するに、サッカーを眺めていて思わず飛行機を逃してしまう人が続出するんで、ゲートから離れたところではサッカーを放映しないようにしているのではないか。
などとおもいながらゲームを眺めたら、なんとルーマニアが一点いれて先行している。手に汗握るイタリア人客たち。そろいのイタリアユニフォームを着た何人かなどは(試合を見に行くのだろう)ビール片手にやんややんや、である。一緒になって他の乗客も固唾を飲んで、イタリアがシュートを試みるたびに一瞬静まり、外れるとそろって頭を抱える。私も頭を抱える。
フランクフルト行きの飛行機は30分遅れになった。普段だったらやんなっちゃうな、という雰囲気で待合室はどよーん、となるのだが、引き続きゲームをみることができるようになったのでモニターの前のだれもがなんとなくうきうき。そうこうするうちに、イタリアが一点返して同点、空港全体にウォー、と喝采の声が上がり、直後に空港全体にアナウンスが。
「イタリアが一点、同点になりました。イタリア万歳!」
拍手喝采、ますます我々は盛り上がり、飛行機搭乗の時間がやってきても列を作りながらモニターに目を奪われているひと続出。チケットを切ってもらっても、ゲートの内側から粘ってギリギリまでクビを伸ばして観戦。もうダメですよ、乗ってくださいと添乗員に宣告され、しかたなく揃ってぞろぞろと搭乗。それにしても空港のアナウンスで盛り上げてしまうところがイタリアである。ドイツではありえん。
飛行機に乗ってからも、機長が折に触れ試合経過を報告し、同点で試合終了。引き続きのフランスーオランダ戦も機長は報告し、1−0でフランスが負けているところでフランクフルトに到着した。帰りの車ではフランス人の友達に何度かSMSを送って経過を教えてもらったが、後半の途中から返事が来なくなり、家について電話してみたらなんと4−1でフランスのボロ負け。ワールドカップの首位、次点が共に振るわぬ一日だった。
講義の方はイタリア人たちの猛烈な質問攻勢でへとへとになった。彼らは質問というよりもほぼ議論状態になるような形で授業をすすめるのを好むようである。晩飯は疲れていたので軽く、とか思っていたのだがなんだかんだいってフルコースになってしまった。カルボナーラはパンチェッタが焦げるぐらいまで焼いてあって、へえー、と思った。風味はでるけど、もっと柔らかいほうがいいなあ、と思った。一方、牛フィレを網焼きにしたtaglia(タリアッテレと同じく動詞タリアーレからの派生語で、切った、という意味だそうだ)というスタイルの料理を食ったが、めちゃくちゃうまかった。焼き目を数ミリつけただけであとはほぼ生の状態、それを鋭いナイフで鰹のたたきのように切った状態で供される。レモンをかけて、ルッコラを巻きつけながら食べる。値段が安いんで二度びっくり、田舎だからか。
下の写真は、一晩滞在した小さな街の街角。