サンブーカ
サンブーカを注文したらショットグラスでサーブされた。「こんなことイタリアではありえない、すくなくともこの2倍ぐらいの量がイタリアでは常識だ」とイタリア人のポスドクたちが怒る。
「ありえない」
「こんなちょっと」
「たったこれだけ」
「こんなのサンブーカっていわない」
彼女たちは顔を見合わせ、しきりに眉をひそめ、肩をすくめる。そんなに不満なのか、と思って顔見知りのドイツ人のバーテンダーを呼んだ。「イタリア人の女の子たちが、こんなちょっとのサンブーカはありえないって怒っているんだけど」といったら、「いや、これが規定の量なんだけど」と答えた。すかさずイタリア人の彼女たちは
「うそー」
「信じられない、これがドイツ?」
「ふつうじゃないわよね」
「イタリアじゃありえない」
バーテンは苦笑しながらバーにもどった。すぐに3倍分の量が入ったグラスを携えてもどってきた。
「うわー、こんなに?」とすっかり彼女たちは満足したのだが、すぐに
「こんなにたくさんのめないわよー」
「おおすぎ」
「すごい量」
「よっぱらったー」
「ちょっとあんたものんでよ」
とくちぐちに。オモロイ。