フィレンツェ

フランス人とスコットランド人と3人での小旅行。フランス人の友人は、飛行機のチェックインカウンターで搭乗拒否になり、およそ24時間後にフィレンツェで合流した。拒否された理由は、パスポートをもっていなかったため。これまでヨーロッパを出たことがないので、パスポートを持っていないのだそうだ。なおかつ、フランスのIDも期限切れという、書類上市民であることを示すものを持っていない状態だったのである。常識はずれであるが、まあ、ふだんから常識はずれな人なので私もスコットランド人の友人もあまりおどろかなかったし、彼も、あそうなのかー、とさっさと鉄道の時刻表を調べてチェックの厳しいスイスを迂回して汽車でイタリアにたどりついた。我々はさきに飛行機でついて、アドリア海側から車で西に向かって運転。山越えでフィレンツェに到着した。
フィレンツェは観光都市である。目玉スポット目白押し、ということですれ違う人間の半分は非イタリア人だった。特にアメリカ人が多くて、スコットランド人の友人がきついジョークをこれみよがしにでかい声で言うので、私は実にこまった。911ネタである。そんなにアメリカ人の孤立気分を煽ることもなかろうに、と思うのだが、まあ、一緒にされたくないという気持ちが強いのかもしれない。それに一般的に英国の人々は冗談がひやひやするほどきついのである。
私は飯に関しては人の二倍好きだと思うが、観光は人の半分も好きではない。上記のように困惑するのもなんかいやだったし、で、観光もそこそこ、一人でカフェでお茶したり、髪を切ったりしていた。前回切ったのが6月のポルトガルだったので、まさに蓬髪。一度道を聞いた床屋に、午後遅くにまた赴いて髪を切ってもらった。モロッコ人の兄ちゃんで、とても丁寧に(というか、仕事が遅いだけかもしれない。)切ってくれた。ずっとマルセイユで働いていたのだが、親戚伝いで一年前からイタリアなのだそうだ。へたくそなイタリア語で喋っているうちに、客の女の子が見るに見かねてか、通訳を買って出てくれた。出来上がったヘアスタイルは、ジェルでこてこてのイタリア人スタイルで、あとでそれを見た友人たちは大笑いしていた。