「やっと、ニューオーリンズの団地が片付いてくれたよ。我々ができなかったことを、神が代わりにやってくださったのさ」。

追記

以下の論評は上記の記事と同様の内容であるが、2001年以降骨抜きになったFEMAの実態なども詳しく書かれている。興味のある方はぜひご参照を。

”カトリーナ被災地に群らがる禿鷹ども”
マイク・デイヴィス(Mike Davis)
ル・モンド・ディプロマティーク日本語版

引用

ネーギン市長は、すでに「土地囲い込み運動」推進派への配慮を見せている。住民の75%がアフリカ系アメリカ人だというのに、全16人の復興特別委員会の構成を白人8人、黒人8人にすると発表したのだ。

大統領は次いで、その支持基盤の超保守派が前々から熱望していた一連の改革を発表した。教育や住宅のバウチャー(利用券)制度、教会の役割の強化、民間部門に対する大幅な税控除、「湾岸オポチュニティ区域」の創設、石油採掘に関わる環境規制その他の連邦規制の停止などだ。

 ジャクソンスクエアの演説は、ブッシュ語に通じた者にとって、記憶のツボを刺激するような味わい深いものだった。以前にもユーフラテス川のほとりで似たような約束を聞きはしなかったか。ポール・クルーグマンが新聞論説で酷評したように、イラクを「保守派の経済政策の実験場」にするのに失敗したホワイトハウスは、ピロクシー(ミシシッピ州)や第9区(ニューオーリンズ)の傷心の住民をモルモットにしようとしているのだ(14)。ブッシュ大統領の復興計画づくりに力を貸したのは「共和党研究グループ」である。この有力グループの世話役の一人であるペンス下院議員に言わせれば、共和党は被災地の瓦礫のなかから、資本主義の理想郷を出現させるという。「我々は湾岸を自由企業の誘致拠点にする。官が取り仕切るニューオーリンズを復興するなどというのは問題外だ(15)」

 現在ニューオーリンズの工兵隊を指揮しているのが、以前イラクの土木工事を監督していた士官だというのは暗示的だ(16)。低地第9区が水中に消え失せようと知ったことではない。フレンチクォーターのキャバレー店主は今からほくほく顔だ。じきにハリバートン社の労働者、ブラックウォーター社の傭兵、ベクテル社の技師がバーボンストリート連邦政府のカネをばらまきに来てくれる。「すてきな時間の過ぎゆくままに」。ニューオーリンズケイジャンたちと同様に、ホワイトハウスでもそう言っているに違いない。