人差し指と薬指の長さで男脳・女脳を判断する

apoさんのところの話(id:MANGAMEGAMONDO:20050319#p2)。にたような話を最近読んだのを覚えていたんでちょっと検索したらあたった。
http://www.asahi.com/science/update/0307/002.html
男に関しての話しで、女に関しては攻撃性との関係がみられない、ってことなんで、この話はうまくいっても「男が女脳か男脳か」ということに限られそう。このステートメントにしても、男っぽい=攻撃的ってなことで、いいのかよ、と思ったりする。

オリジナルにあたってみた。発端になった論文は人差し指・薬指長さの比と、セックス・ロールの関係性の研究。2003年に「生物心理学」に掲載されている。ハンガリー・ぺック大学のグループの論文。この研究は、女だけを対象にした研究で、この場合は人差し指が薬指に対して短い女の人は、自分のことを男性的だ、と自分で思っているひとが多い、てな結論。
この研究に対する反論が、カナダ・アルバータ大学のグループによって、同じジャーナルに今月発表された。こっちの結論は、人差し指の長さがどれだけ薬指よりも短いか、ということとその人の暴力性の関係性は男に関してだけあてはまる、てことで反論になっている。
反論はもう一件あって、米国・マリー・ボルドウィン大学のグループ。”個性と個体差”という雑誌に掲載される予定。まだ概要しかでていないけれど、アルバータグループ同様、女には指長さ比と積極性・暴力性との関係性はみられない、てな結論。オリジナルが読めないのでどっちの方が妥当なのかよくわからんけれど。いずれにしろ、男に関してはあてはまる余地が残されている。
ちなみに私は人差し指が薬指よりも爪半分の長さだけ短い。朝日の記事をみかけたときには、しげしげと自分の手をながめて、暴力的なんだなーやっぱり、困ったことだ、でもあたってる、わはは、なんて思った。暴力的なのは自覚しているのだが、身体的特徴になるというのはなんかおそろしい。893とかが人差し指をわざわざおとして「みいや、わいこんな乱暴ものやでー」てな粋がりかたもでてきそうで、これまた困りものだが。

追記。指の長さの差と男の暴力性になんで関係があるのか、ということに疑問を持つ人がいるかもしれないので、ちょっと解説すると、朝日の記事にもあるように、胎児が晒される母体由来の男性ホルモンの量が、指の形態形成に関わっている、同時に暴力的な性向の形成にも関わっていると、いうことがポイント。別の言い方をすれば、指令系統としては上流にある母体由来男性ホルモン量が、下流にある胎児発生のさまざまな過程に影響するのだが、そのうち二つが指の長さの差と、暴力性、ということになるわけです。だから、成体においては指の長さの差と暴力性にはなんの関係性もない(はず)。すなわち、指を切ったからといって暴力的になることはない。あるいは暴力的な映画を毎日観ながら暴力的な生活をして暴力性を醸成したからといって指がいつのまにやら短くなるわけでもない。
批判的に読むことはいくらでもできて、例えば男性ホルモン過多は本当に子の暴力性の多寡に関わるのか、とか、指の長さの差の制御は発生学的にはありえそうだな、と思うけれど、それだけなのか、ほかにも制御因子があるんじゃないの、とかいろいろある。