賀正

今年もよろしく。

スマトラ島沖地震インド洋津波による災害への大国の対応が政治的になりつつある様子は、被害のあまりの凄絶さに比して私にはかなり異様に映る。規模が規模だけにわからないでもないが、イラクで評判を落とし続ける米国がここぞとばかりにCoalitionの形成し、自然災害との戦いを謳いあげる姿にはどうも素直になれない。世界平定戦略の上で評判回復のチャンスであることは確かだ。一方で「助けなければ」という、アメリカ人それぞれが持つひたむきさと単純さ、気心のよさと純粋さも私にはよくわかるので気分は複雑。でも純粋さと政治の結託は往々にして害毒なんだよな。ますます複雑な気分。
日本でほとんど報道されないのは、先日書いた自然災害慣れだけではなくて、内向き志向の病理がここでも顕現しているからではないか、と思う。日本人が18人死んだことの方が、インド洋沿岸の人々が12万人死んだことよりも共感しやすい、というただ一点において内向きになるのだ*1。共感の倫理、とでもいえばいいのか。欧州、米国、香港、オーストラリアが0時のカウントダウンで騒ぐだけではなく黙祷をささげたのに対して、不思議なほどに日本社会はこの大自然災害の事実に対して鈍感だ。
昨日は東名高速の足柄付近で雪にあい、通行止めのガラガラに空いた高速をそのまま走り続けたら町田で頑固な渋滞になった。同じく通行止めの高速を走ってきた車を全て町田の出口で追い出したので、ひどい渋滞になったのだ。3キロ進むのに3時間かかった。夜、この何年もの間大晦日に訪れていたおやっさんニュートラルはもうない。その後これまた恒例だった夜明け近くの吉野屋牛丼もなくなってしまった。渋滞で疲弊したことと、習慣が失われてしまったので、随分静かな大晦日を経て正月を迎えた。

*1:「内向き志向」と、私のように日本外に生活の場がありながら日本文化とは縁が切れない人間の関係については最近の当代江北日記(id:Jonah_2さん)が話題にしていた(id:Jonah_2:20041223#p2)。ちなみにJonah_2さんも海外在住である。Jonah_2さんは次のようにコメントしていた。”現実を見ずに「心はボーダーレス」の人も困るが、現実を見ずに「心はウェストファリア」の人も困る。▼国籍や住んでる場所を基準に、それ以外の発言を封じ込めようとしても無理なんじゃないかなー。”私も同感。それどころか、海外に住んでいる人間は日本文化のアンテナなのだから、発言を抑えるのは損なのではないか、とも思ったりする。我田引水めくので、正月早々恐縮なのだが。