新宿駅成田エクスプレスホームは、とんでもなく遠くにあるのでいつも参る。しかも中央地下通路から行くと、階段がある。ただえさえ階段だらけなのだが、スーツケースをかつぎ上げるという恐るべき難行が最後にも待ち受けている。ホームにたどり着いて、いつもの「喫煙所」を探すと、半年前よりもほぼ50メートル、南に移動していた。ほとんど代々木である。私が喫煙所に到着したのは9時25分だった。喫煙が可能なのは9時30分からだった。ガードマンが一人、仁王立ちしており、喫煙しようとする人々を口頭で制止していた。9時30分、「どうぞ」と無表情に一言いってガードマンは立ち去った。喫煙者以外の人間はだれもいないそのホームの先端で、人々は一斉にタバコをくわえ、火を点けた。

3週間日本に滞在してドイツにもどると、いつも感じるのが顔の筋肉の退化だ。表情があきらかに固くなっている。税関で腕組みをしている国境警備員にはめったに捕まらないのだが、今回は笑いかけようとして顔がひきつってしまい、見事に不審者扱いになってしまった。EUの特別身分証明書を見せたらびびって通してくれたけれど、あれなかったらいろいろ没収されていただろうなあ。