アウトバーン8号線はナチステクノクラートが設計した高速道路である。ドイツであまり感心する芸術はないのだが、この8号線は極上のアートだ。直線が極力排除され、道路は優雅なカーブを繰り返す。この繰り返しのカーブには居眠り運転防止、という技術的な意味がある。でもそれだけではなく、これらのカーブの曲率は、南ドイツに特有の女性的な丘陵のスロープの斜度を勘案してつくられている。すなわち、カーブを移動する車からの視線と、風景のアップダウンが見事に協調するように設計されているのだ。インターアクティブなアートとして、これほどの作品はなかなかない、と私は思う。