ゲーテボルグ

スエーデン語

スエーデンのゲーテボルグに学会で滞在中。空気がクリアーで新緑が美しい。講演を丸暗記のスエーデン語で始めた。「エラデ オルハレ、ミナ ダーメ オック ヘラル、ミットナーメエルXX(私の名前)。ヨーグスクレビリャタッカ オルガニザトールナ フェール モエリゲーテン アットゥフェタウラ イ デナ バクラ シュトード」→「紳士淑女の皆さん、こんにちわ。XXと申します。この美しい街で話す機会を与えてくれた学会の主催者に感謝します。」

観衆はわははとよろこんでいたんだけど、公演終わったあとスエーデン人につっこまれた。「日本語かと最初思った」。うむむ。ドイツ語みたいに発音してしまうところもダメなようだ。発音特訓をしてくれた秘書さんにたいへんすまない結果となった。かくなる上はノーベル賞記念講演のために、ひそかに研鑽を重ねなくてはいけない(んなことないって)。イタリア語やスペイン語だったらとてもうまくできるのになあ。講演そのものは評判良くて、9月にニースである学会でもしゃべってください、と頼まれた。泳ぐぞ。トップレスの美しい女の子達や、おいしい魚料理もとても楽しみ。二年前にもニースに学会で行ったが、最高だった。

街に飲みにでかけた。スエーデン語はさっぱりわからない。ラテン系の言葉はなんとなくわかる。スエーデン語はドイツ語系なのでわかってもよさそうなものだが、これが全然ダメである。文字にかかれた単語はなんとなくわかる。ドイツ語でゴミをAbfallというが、スエーデン語ではAvfall。見ているとなんとなく推測がつく。OfficeはScrivrum。こちらはラテン系のスクリーボ(書く)に部屋(ルーム)。しばし考えたものの推測はついた。でもこれが音になるとなんとも理解しがたい音になる。ちんぷんかんぷんである。

大学

最初の日にゲーテボルグ大学を訪問してみた。緑に囲まれ広々としたとても美しいキャンパス。とてもいいなあ、と思ったのは、キャンパスの中に老人ホームがあること。その広いバルコニーでおじいさんやおばあさんが、キャンパスの若者を眺めながらお昼ご飯をたべていた。優れた福祉である。歳をとったらきっと若者を眺めているだけで元気になれるのだろう。大学生がこんな形で社会にその存在を還元するのはよいアイデアだ。キャンパスのあちらこちらには、圧縮空気のホースがぶら下がっていた。なんだこりゃ、としげしげと眺めて、自転車の空気入れだ、と気がついた。これまたとてもよいサービスである。研究所の内部はふんだんに木が使われていて、ザ・北欧、という雰囲気。

ザリガニ

スエーデンといえば私にとって「やかまし村の子供たち」および「屋根の上のカールソン」である(ナガクツシタのピッピもそうだったか)。前者にはざりがにを食べるシーンがよく登場する。ざりがにを食うのかあ、と子供ながらに感心してよく覚えているのだが、今日の夜はついにそのざりがにを食べることができるらしい。とはいえ、この数十年の間に在来種のザリガニは病気が流行って希少種になってしまったのだそうだ。養殖用のアメリカザリガニが持ち込んだウィルスが原因で、当のアメリカザリガニはそのウィルスに耐性を持っているのだそうだ。今食用になっているのは、中国からなどの輸入モノがほとんどで、在来種は目が飛び出るほどのお金を出さないと食べられないのだとか。日本でも在来種はマッカチンに駆逐されたよなあ、と思い出した。私が子供のころにはまだ半々ぐらいだったと思う。マッカチンの方が体が大きく赤の突起も派手で格好はよかったのでザリガニつりの時にはマッカチンの方がうれしかった。今そのことを思い出すと、あれは日本在来種の絶滅の過程だったのだなあ、と思いは少々悲しさを帯びてしまう。