田中&浅田の憂国放談5月分。

パウエルの古武士的悲哀とか。あまり目新しい話はない。
でも以下いくつか抜粋。

田中 へぇ。普通に考えりゃ、そんなブッシュの暴走ぶりが書いてある本は自分たちにとってものすごく不利なはずなのにね。

浅田 ブッシュ陣営の究極のシニシズムなのか、本当に大衆がバカだと思ってるのか。とにかく、ディック・チェイニー副大統領を初めとするパワフルな側近たちの傀儡じゃない、にっくきサダム・フセイン打倒のため一貫してリーダーシップをとった大統領っていう像が描かれてるのは事実なんで、「ズバッと決断してズバッとやりぬくところがいい、いまさら証拠があるとかないとかゴチャゴチャ言うのは鬱陶しい」、大衆がそう思ってくれるとしたらいいじゃないか、と(笑)。

田中 居直ってでもブレない自分だって部分を売りにしてるわけかね。なにやら小泉と似てるよなぁ(笑)。
(中略)
浅田 やっぱり小泉と似てるね。データや論理なんてどうでもいい、一対一で膝を突き合わせれば男同士なら暗黙の了解が成り立つ、と。

このあたりid:Ririkaさんとこと、id:sujakuさんのとこの「兄貴」論と繋がるんじゃないかな。

その会場で「報道ステーション」の古舘伊知郎オノ・ヨーコに聞いてるの。何十年も反戦運動をやってきたのに、世界はいまもこんな状況で、空しくならないかって。そしたら彼女は「全然!」って言うわけ。イラク開戦前には世界で1000万人規模のデモがあった、それが現実なんだ、と。言い換えれば、現実主義と言いつつ実は昔ながらの虚構にしがみつく政治家たちが、現実離れした戦争ゲームをやってるだけなんだ、ってわけね。論理としては、最近だとアントニオ・ネグリマイケル・ハートが『帝国』で言ってるような、帝国の権力に対する国境を越えたマルティテュード(多数者)の力能って図式に近くて、むろんユートピア的に過ぎるといえばユートピア的に過ぎるんだけど、短期的には悲観主義をとらざるをえなくても、長期的には楽観主義でいくべきだってことなんだろうな。あれだけのキャリアを重ねてきた女性が平然と言ってのけると、それなりに迫力があるよ。

たぶんid:noharraさんに言いたかったのはこんな感じなんだけどなあ。私が太字にした部分はたぶんシモーヌ・ベイユ。ベイユからオノへ、ってことか。