マイルドな事件

キタノさんの4月15日付記事、「報道管制とテレビメデイアが作るバーチャルリアリティ」。価値のある記録だ。首相官邸発の自粛お願い(形容矛盾)で、イラクの日本人人質ビデオがいかにマイルド化されたのか、が詳しく報告されている。 [追記] 大手メディアの報道操作は日本に限った話ではなく、ちょうど今日、id:rhyddさんが自身の体験として触れている(「10日付Fiskの記事で思い出したこと」)。

イラク日本人人質事件の自作自演説の背景には、事実のマイルド化が作用しているのではないか。なお、流布している自作自演説に関する私の印象は以下のとうり。

1、イラクは未開である、という素朴な先入観*1。使用機器(CDRやキャプチャーボードのことなど)を自作自演の根拠として挙げるところなど。
2、日付が西暦でイスラム歴ではなかった、イスラム教的な修辞がないという点。拉致犯がイスラム原理主義者でない、ということでしかない。
3、この事件を自作自演として日本国内の問題である、と閉鎖させてしまうほうが、おそらく安心なのである。日本が歴史を動かす世界情勢のまっただなかにいる、という現実からの逃避。セックスよりオナニーが好き、とでも言おうか。

*1:なんばさんの「イラクの PC 事情id:rna:20040415#p2」に詳しい報告。先進国の人間だけがハイテク使いこなしているという思い込みはどっからくるんだろうなあ。それにしても。(4月15日追記)