一方で、ブッシュ主導で始まった「なぜ米国情報部はサダム・フセインの大量破壊兵器の情報についてかくも間違ったのか」を解明する委員会。結論は2005年春なのだとか。しかもこの真相究明委員会の共同委員長はローレンス・シルバーマン。この人間については、ガーディアンがその経歴を詳しく報道している。米国愛国者法(Patriot Act)推進に尽力した人間であり、なおかつ過去にイランコントラゲート事件で、オリバー・ノース釈放に一票投じた。

愛国法。

同法は、FBIなどによるネットのモニタリングや電話の盗聴などへの制限を大幅に緩和し、ISPなどに当局の捜査への協力を義務づけ、ハッキングをテロと位置づけた。また、外国人の入国審査の際にFBIのデータベースと連動したバイオメトリクス審査システムを使うことが可能かどうか、司法省に調査・検討を要求している。
 このため、法の原型案が9月11日のテロ直後に出てきたときから、市民権運動家はプライバシーや“市民の自由”が奪われると叫び続けた。だが、若干の反論や修正はあったものの、議会ではすんなりと通ってしまった。下院も賛成多数だったが、上院に至っては反対はわずか1票だった。

後藤貴子の米国ハイテク事情

イラン・コントラ事件の概略。

イラン・コントラ事件(1983-1988) 80年代にはイラクを支援しておきながらその敵国で、国内法で武器売却を禁じたイランへ、当時のレーガン大統領が承認し武器を売り、その資金をニカラグアの反政府ゲリラ「コントラ」へ横流ししていた。コントラも中米の共産国化を阻止するために、CIAが雇った傭兵を組織して内戦を起こした。このコントラへ武器援助してニカラグアを疲弊させ、サンディニスタ政権を選挙で敗北させた。中心的な役割を果たしたのは国家安全保障担当顧問海軍大将とオリバー・ノース中佐。

神吉の選挙コラムより
イランコントラ・ゲート事件の年譜はココ

オリバー・ノースは法廷で「レーガンはこの件のことを知らなかった」と証言して、米政権右派のヒーローになった。いまやテレビ・コメンテーター。今のブッシュ政権の中枢に、イラン・コントラゲートに関わっていた人間が多くいることは、田中宇さんが指摘している。というわけで、イラン・コントラゲート隠蔽に功績のあった人間シルバーマンの抜擢である。またか、ということだ。