ネイチャーアップデートいくつか。

    • テレパシーが存在するか否か、という公開討論が1月15日に200人の聴衆を前にロンドンで行われた。発生生物学者の有名人で、発生における位置情報の存在を提唱した権威、ルイス・ウォルパートと、形態形成場は時空を越える、と20年前から提唱しているルパート・シェルドレイクのガチンコ。「生命のニューサイエンス」という翻訳が、確か工作舎から出版されていた。当然だが、前者がテレパシーをこきおろし、シェルドレイクが防御する、という議論になるはずだったのだが、なんと大議論の後、聴衆のほとんどは、シェルドレイクの側に回ったそうだ。悔し紛れにウォルパートは"An open mind is a very bad thing - everything falls out."といったとか。
    • ウォルパートを当てたのがまずかったのではないかと思う。発生の場、というのはまだよくわかっていないことがありすぎるのだ。分子的な背景はやたらと網羅されて、教科書はいまや電話帳並になっている。でも、実際に空間がどうやって構成されるのか、物理的なメカニズムはほとんどわかっていない。別のもっと物理よりの人間と議論させればもうすこしましな展開になったかもしれない。ただ、このいかにも夕刊紙ネタになりそうな討論会は、科学に対する人々の興味を少しでも刺激しよう、という目的で行われたとのこと。この点では成功なのだろう。
    • タバコの本数を減らしたり、ニコチンパッチを貼っても、煙を深く吸い込むようになるからあまり意味がない、という調査結果。でも研究結果をよく効くと、減らした本数の半分ぐらいは発ガン性物質の吸入が低下しているらしい。まあ、だからともかく完全にやめろ、といいたいんだろうなあ。米国ガンセンターの研究。