天災待望、カタストロフ祈願、ガイアツ依存症について書いた先日の話の関連であり、昨日書いた、自分勝手な温度差、にも関連する事を、美濃口さんが問題にしている。

[引用]

血生臭い紛争が本格的になる前に中立な軍隊を送り込むことは、事態の沈静化で予防になる。一度紛争が起きてしまうと、ユーゴ紛争がしめしたように、介入のタイミングが難しい。私もこう考えるので、ドイツ軍がイラクに派遣されることに反対する理由を見つけるのに苦労する。

ところが、自衛隊イラク派遣については、その事情を知れば知るほど、賛成・反対以前の問題で、私は自分の常識が通用しないことに気がつく。本当に失礼な疑いであるが、日本政府はイラクで一番安全な場所をさがし、オランダ軍が駐留するサマワを見つけて自衛隊員の居候を頼んだのではないのだろうか。二つの国の軍隊が同じ町にいると、普通どちらが指揮権をもつかで問題になる。なぜ今回この点が問題にされないのか。

日本政府にとって、自国の武装兵士・海外派遣が自己目的になっているだけではないのか。とすれば、これは、とにかく結婚したいといって相手かまわず結婚する人と同じで、(自身を含めて)関係者を不幸にすることが多い。こうであるのは、本来日本国民が自分たちで議論して解決しなければいけない憲法九条問題を解決できないで、イラクくんだりまで自国兵士を派遣して「国際社会」から決着を期待するからではないのか。

欧州どまんなか 美濃口坦 

子供じみたガイアツ頼みの姿勢、その犠牲になるのはイラク人である。国際貢献という題目、その本来の意味があまりに考慮されずにいると、温度差だけではすまない。本音と建前がここまで解離していて厚顔を保っていられるのは、日本の社会が今、操作的な言葉の運用に麻痺しているからである。改革断行、聖域なき改革、etc etc。言語感覚の麻痺した日本に向かって叫んでいるだけならばいい。世界に向けた途端に、たんなる軽蔑と嫌悪感が残るだけ、ということに気がついたほうがいい。