2011年の3月11日は、ローマの近くで院生たちに講義をしていた。授業中なのにイタリア人の若者は、「大変だ」と教壇までラップトップをもってきてYouTubeの動画を見せてくれた。津波が渦を巻いていた。
2012年の3月11日は新宿のゴールデン街でコスタリカ人と飲んでいた。福島出身の若者たちが開店したばかりのバーで、故郷を語る言葉は少なかったが、ボケとツッコミがじつに見事で闊達な彼らを眺めているのは楽しかった。
2013年、はじめて自宅での3月11日となった。まだまだ寒いバルコニーにじっと座って夜空を眺める。波の音が聞こえるような気がする。