Zuerich 2

ブレーンストーミングな4日間も終わり帰宅。いわゆるハイスループットな顕微鏡のシステム開発に関する話で、これまでは単にスクリーニングのロボットぐらいにしか思っていなかったが、いろいろ話を聞いているうちにこれはもしかしたら測定機器としてまったく違った発想の研究が可能かもしれない、と思った。顕微鏡をつかった研究というとどちらかといえば職人技術な側面が多いと思うのだが、こうしたちまちました世界から対象をより統計学的に扱うこと(単一分子の世界はすでにそうだけど)を一般的にするのではないか、という印象を持った。まあ、10年後とかの話だけど。 これがなんでおもしろいかというと、たとえば細胞説を前提にして組織を眺めるみたいな常識がくずれていくだろうから、なのだが。
とあるガンの場合、組織染色の診断は病理学者の目に任せるよりもマシンラーニングでパターンを教え込んだシステムに任せるほうが信頼性が高いということで、そのシステムを開発したスイス工科大学の人の話はちょっと目からウロコだった。いまどきのマシン・ラーニングって、ランダム・フィーチャー・ジェネレーターで生成した数千のパターンをつかって(病理学教室に蓄積されている病変切片像にコンボリューションかけるんですな)コンピューターに学習させるってんだからまあ、仰天である。「これが核ですね」なんていっている世界からははるか先を行っている。
帰路にはチューリッヒに住んでいる大学時分の後輩と会ってビール。妊娠してたんで彼女のほうは飲んでいなかったけど、3年ぶりだかなのでいろいろつもる話をあれこれ。彼女は研究者としての成功が約束されているような状況からベンチャー企業就職した。結果としてはやっぱりよかった、とのこと。なかばノイローゼになってしまったアメリカ人の友達の話とかもきいた。ポスドクの次になにをするのかってのはどこの国でも難関。もちろん日本には日本特有の問題もあるけれど。

ホテルの部屋からチューリッヒ