参院選

速報で当確が出始めたころに官邸を出たコイズミ首相にぶらさがり記者が「今回の敗北の責任は?」と問い、首相は即座に「関係ない」と答えていた。「カンケーねーよ」という中高生並のふてくされ呟きをこの国の首相はためらいもなく使用した。たぶん、この言葉はコイズミ首相の本質である。選挙は関係ない、のだ。

関係ない、かもしれないが、さかのぼることちょうど一週間前に、長野の某所で私はブルーベリーを摘んでいた。知人の知り合いが農家で、いくらでも摘んでよい、とのことで、農家を夕方に訪れ、1時間ほど採取に没頭した後に麦茶が供された。軒先で私は主人としばし雑談をした。主人は、君、選挙に興味あるかね、ということばを皮切りに、自分が推している自民党候補を私にも一票入れろ、と言い始めた。タダでブルーベリーを摘ませてもらった手前なんとなく悪いなあ、と思いながらも私はイラク戦争に対する現政権の方針に反対であるという自分の立場を説明した。しばし議論になった。主人は少々気分を害したようだった。双方はしばし沈黙してしまった。結論として主人は「政治は難しいからねえ」と述べた。いや、それは関係ない、と私は心の中で思ったが、さすがに口にはだせなかった。

もしかしたら関係があるのかもしれない。政治はそもそも、そんなにやさしいことではないはずだ。それに比して、首相の言葉はあまりに軽い。