帰省中。

ネットで注文した「重力」01と02が届いていた。まだパラパラ眺めてみただけだけど、「ナマナマしい」という印象。生々しいのが悪い、ということではなくて、この10年の批評の世界の行儀が良すぎたんじゃないかなあ、とも私は思った。スタイルは重要だけど本質ではない。鎌田哲哉さんからの住所直筆茶封筒で送付されてきたんで、ミーハーにも私は、「おお、サイン入り!」と喜んでしまった。

あとこれまた郵送で注文した、ドイツの運転免許の日本語翻訳が到着している。

日本で運転するにはこの翻訳文が必要である、と知ったのは最近である。それまではドイツの国際免許で運転していた。これまでにも日本で運転していて、スピード違反や、検問、事故で何度か警察にはお世話になっているのだが、毎回この国際免許を見せて、警官はその国際免許証を一瞥して、なんじゃこりゃ、とはいいながらもOKだった。実はこれが問題であったことを知ったのはつい最近のこと。9月にも私は一時帰国していた。ドイツに戻る飛行機の出発時間10時間前に、駐車禁止のタグを車にぶら下げられてしまったので、朝4時ごろ交番に出頭した。すぐに終ると思ったら大違い。いつもどうり、ドイツの国際免許を見せ、書類が途中まで埋まったところで、「ドイツの正式名称は?」と聞かれて、「たぶんドイツ連邦共和国だとおもうんですけど」と答えたところ、「正確じゃないとねえ」といいながら警官は書類を調べ始めた。調べた先、というのがジュネーブ条約に加盟している国の正式国名リスト、というもので、なんとドイツがそこにはどうみてもないのである。

警官はうなり始め、私に向き直って、「ジュネーブ条約に入っていないということは、ドイツの国際免許が日本で使えないってことになるかもしれないんだけれどねえ」といい始める。そんなはずないですよねえ、あはは、と答えたが、つむじ曲がりのドイツだからもしかしたらそうかもしれん、と頭の中で思う。警官は本庁まで電話をかけて、30分ぐらい調べ上げ、その応答を聞きながら私はどんどん青くなっていったのだが、結局、私は「無免許運転」ということになってしまったのだった。青くなったのは無免許運転ということではなく、夜は明けて成田に間に合わない時間になりつつあったからだった。結局家族に頼んでタクシーでスーツケースを持ってきてもらい、車の鍵を渡して私は警察からタクシーで最寄のJR駅に向かい、直接成田に行くことになった。飛行機にはどうにかギリギリで飛び乗った。

そんなわけで、ドイツに戻ってから調べてみたところ、ドイツの免許の場合、日本では国際免許が使えないので、JAFに依頼して日本語翻訳文を作成してもらい、それが日本での免許ということになるのだそうである。JAFってだけど、役所じゃないよなあ。役所ではないJAFが発行する文書で運転可になるっていうのも少々不思議な話である。