ホメオパシー、アロパシーなどなど

生後6ヶ月の子供が病気で死ぬまで「好転反応」とかいいながら親が座視している。日本のホメオパシー協会の問題はオウムや在特会によくにている。あるいは死ぬまで「総括」な連合赤軍。毒を抜く、すなわち総括、すなわち排除だ。人間には宗教が必要なのかもしれない。無根拠に帰依する、あるいは「ネタにベタに没入する」ことがどうしても必要な衝動と弁証法的過程が人間にはあるのだろう。ニーチェ以来宗教は死んだが、恋愛が代替物になった、といったのは島田雅彦だったかな。

ホメオパシーはドイツが発祥の地だと、今回の一連の日本での報道などを眺めていてはじめて知ったのだが、ホメオパシーという言葉は、ドイツで日常的に聞く。「あそこの医者はホメオパシー寄りなので、抗生物質をなかなか出さない良心的な医者だ」といったような感じで使われる。そんなわけで、私は自然治癒を尊重した治療方針をホメオパシーと呼ぶのかな(字義から、病気寄り、と私は解釈していた)、となんとなく思っていただけだった。日本風に病は気からなわけね、と思っていた。もともとホメオパシーの考え方は、日本の病の考え方にフィットしやすいのかもしれない。だから日本のホメオパシーは「反西洋医学」とかいうのだろう。ホメオパシーだって西洋医学である。
そもそもホメオパシー専門の医者というのは私は見たことがない。医者なので、ホメオパシーよりの医者であっても、炎症がひどければアロパシーな医者になって抗生物質を処方する。まあ、普通に医学を勉強しているのだからあたりまえである、と私は思っている。私自身の印象だと、ホメオパシーの医者は、やたらと病欠証明書を出す。とにかく休め、と4日間の休暇の処方をだしたりする。ホメオパシーの薬、というと例の砂糖粒「レメディ」を指すわけではなくて、体に優しい薬をさす。例えば喉が腫れているときには、ハッカの入った薬を喉に振りかけて様子を見るなどなど。日本でショウガ汁を飲むようなものである。
代替治療の医者としてはハイルプラクティカー、と呼ばれる職業の人たちがいる。薬草、ホメオパシーアロマセラピーカイロプラクティック、フィジオセラピー、鍼、キネシオロジーなどなどを網羅する代替医療の専門家である。医学校をでている必要も特定の教育を受けている必要もないが、かなり難しい試験に通らなくてはいけない。目下ドイツには2万人いるそうである。なお、ドイツと違ってオーストリアの場合は、普通の医者の免許がなければ、ホメオパシーの処方をしてはいけないそうだ。
私自身はカイロプラクティック以外では行ったことがない。私的な健康保険はこの支払いをしてくれる。公的な健康保険はこの治療の支払いを行わないらしいが、普通の医者の処方で「フィジオセラピー」を指定してもらえれば払ってもらえるのだろうと思う。ホメオパシーに関連するドイツの記事などを眺めていると、現代医学を極力排除しようとするラジカルなハイルプラクティカーもやはりいるようで、これは悪い行いであると一般に認識されている。このあたりのラジカルなフラクションによる著作、治療方針が偏って日本に輸出されているのかもしれない。