情報の穴

今月3日のサイクロンによってビルマでは10万人といわれる死者・行方不明者が出ている。一方、12日に起きた中国四川省震源とする地震で一万人にのぼる死傷者が出ているそうである。刻々と明らかになる被害の甚大さを眺めていて、近くは2004年12月26日に起きたスマトラ島沖地震による津波やもうすこし前では1995年の阪神大震災を思い出す。情報の流れ、という面から見たときに被害が酷い場所ほど情報発信のインフラが損なわれなおかつ発信の主体である人間自身が死んでしまい、なかなか情報が外に出てこない。04年の津波の場合はアチェがいちばん大きな被害を受けたのだが、その被害の全貌がわかりはじめたのは何日もたってからだった。ビルマのサイクロンの場合は政治的な理由もあるようだが、4日の”243人が死亡”という報道から”1万5000人死亡”という6日の報道まで2日かかっている。
http://www.cnn.co.jp/world/CNN200805040010.html
http://japan.cnet.com/blog/it_bigbang/2008/05/06/entry_27001204/
中国の地震でも、震源地近くの情報は今もって寡聞とのこと。

源地となった山岳地帯の※川(Wenchuan)県からは、地震発生から14時間経った時点でもほとんど情報が届いていない。
http://www.afpbb.com/article/disaster-accidents-crime/disaster/2390311/2920641

ほとんどの人間が死んでしまうと、その事実は伝わらなくなる。したがって、被害がひどければひどいほど、国際社会の対応はずれ込むことになる。”情報が出ない”という事実から、逆に天災による被害の規模をなるべく迅速に推定することができるかもしれない、と思う。情報の発信量をマッピングしたとしたら、通常の状態での分布と比較して災害が起きたその場所だけぽっかりと穴が空いたような分布になる。地震の揺れの度合いの分布をマッピングしたような図である。もしこうした情報発信量をリアルタイムでモニター、 定量することができるならば、その分布の変化から被害の規模を即座に推定することが可能かもしれない。