アローザ・スイス

木曜から日曜までスノボ。研究所から総勢80人で合宿。クールで小さいのバスにのりかえる必要があるとのことで、よっぽどアプローチが峻険なのだろうなあと思っていたが、日本の越後の山道とかに比べたらそんなにたいしたことはなかった。谷を25キロほど詰めた行き止まりがアローザで、標高は1500から2800(グーグルマップだとこのあたり)。暖冬だけれども、上のほうは雪の量質ともに十分だった。2200ぐらいから下はぐちゃぐちゃの雪でのろのろした春スキー。麓近くでは露出した地面の間を縫うように滑った。いつものように私は細身のレーシングボードにハードブーツで、こんなのはじめてみた、と珍しがるひとが今回は結構いた。滑り方がほぼ進行方向正面を向いているというのがこれまた珍しい、という。スノーボーダーはほとんどがフリースタイルのボードである。でもゲレンデすべるんだったらフリースタイルのボードだとじゃくねくねしてしまっておもしろくないと思うんだけどなあ。80人そろってなにかをすることはほとんどなく、三日の間、コスタリカ人の男の院生、イタリア人の女のポスドク二人と滑っていた。イタリア人の女の子達が延々とイタリア語で話しているのを聴くともなく聴いているのがどうも私は大好きで、なんかあの音がいいんだよなあ。グループのこのメンバーはずっと変わらなかったが、ときどきフランス人やクロアチア人たちが合流したり離れたり。80人でそろってしたのは夜の橇。中腹まで足で登ってそこのレストランで酔っ払ったあと、橇を渡されてホテルまで滑り降りる。ブレーキはないし酔っ払っているし光もなにもないものだから、クラッシュする人間続出で、一人鼻を骨折。わはは。一人は脛の打撲で二人ともそのまま病院。私は財布を落としてしまったけれど、あちゃー、と思いながら歩いて上り返したら、ゴールから10メートルほどの最後にクラッシュしたカーブに落ちていた。
今回はこれまでではじめてコンタクトレンズを導入したのだが大正解で、実に快適だった。なれぬものだから最初の朝などは装着に30分かかってしまって他の人達から脱落。ケータイで探して後に合流。二日目には10分に短縮、三日目は2分で装着できた。コンタクトレンズに慣れている人にはなんてことないんだろうけど、生まれて初めてコンタクトを使用した衝撃はかなりでかかった。なにしろ裸眼のごとき状況でモノがよくみえるのである。うおーすげー、となんども感動しまわりの人間にいうんだけどコンタクトをしている人間にはあたりまえだし、していない人間にはわからない。孤立である。夜は同じメンバーで毎晩サウナに入って、街で夕飯、そのあとクラブで踊りくたくたになってホテル。スイスのドイツ語はドイツのドイツ語と違ってとつとつとした撥音が多い。「なんとかだっちゃ」みたいな言い回しが多くてかわいい感じがする。